もしも最低賃金が5年で50%増加したら、そう言われると嬉しい労働者の方は多いのではないでしょうか。
このほど立民党が発表した公約には、最低賃金を5年以内に1300円に引き上げることを目指すとあります。
現在の最低賃金は874円ですから、実現すれば約50%の増加となります。
これで、参院選を前に、与野党ともに最低賃金の上昇を訴えることになりそうです。
賃金の上昇自体は正しい政策であると言えますが、問題はその手法です。
最低賃金やそれに近い水準で労働者を雇用している中小零細企業の経営者の中には、人件費の増加に頭を抱える方も多いのではないでしょうか。
「5年で賃金を50%アップできるほど業績が上向くとは思えない」、「売上の減少を覚悟で従業員を減らさざるを得ない」といった声が聞こえてきそうです。
これに対し、賃上げのために中小零細企業への支援を拡充すべきとの声があります。
ただ、その支援が企業の業績を上向かせるものであればいいのですが、単に賃金の上昇分を財政的に支援するだけであれば、それは単なるバラマキになってしまいます。
その財源の規模は莫大な数字に上るはずであり、そのツケは国民に回ってきます。
また、10月の消費増税を撤回し、賃金を引き上げることで家計の消費力を回復させ、経済を活性化させるべきとの声もあります。
しかし、もともと野党の多くは消費増税を推し進めてきた民主党の流れを汲んでおり、いつ増税に舵を切るか分かりません。
そうした将来への不安がある中で賃上げを実行したところで、消費の活性化には繋がらず、賃上げ分は貯蓄に回るだけではないでしょうか。
やはり必要なのは、減税であると考えます。
消費減税で家計の負担を軽減し、所得税減税で実質的な賃上げを実現するとともに、法人減税で企業業績を上向かせ賃金上昇に繋げることが必要です。
個人消費が回復し経済が好調になれば、減税分を穴埋めする以上に税収が増加します。
これが目指すべき方向ではないでしょうか。