トランプ大統領の貿易政策が海外メディアの批判にさらされています。
日本でも、「中国の軍事拡張の原資を断つ」という対中貿易政策の真の目的が報道されることはなく、反対に、日本や欧州などに対する輸入関税の引き上げは、米国の産業だけを守る「保護主義的なもの」との声もあります。
一方、日本も高い輸入関税を掛けている分野があります。
それは農業です。
日本国内では、トランプ大統領の保護主義的貿易政策を批判する向きもありながら、日本の農業分野における保護主義に対しては是正を求める声は上がりません。
しかし、米国に対し保護主義の再考を求めるのであれば、日本も保護主義政策を見直す必要があると考えるのが公平な見方です。
例えば、主食である米の輸入関税は、諸外国と比較しても異常に高い数字です。
別の言い方をすれば、これだけ高い関税を掛けなければ、日本米が海外米との価格競争で勝てないということを示しています。
但し、自国農業の保護は食糧安全保障に直結する問題でもあるため、単に「食糧の海外依存度を高める施策を行えばよい」ということではありません。
ですから、政府には農業分野の競争力を更に高める政策が求められます。
しかし、農林水産関連の予算は、ここ10年で見ても23兆円以上が投入されているにも関わらず、食糧自給率(カロリーベース)は、横ばいか減少傾向です。
生産額ベースでは増加の兆しもありますが、単に補助金を投入することで保護するような農業政策は効果が高くないということです。
日本の農業は、世界が注目する技術を多数持っており、それ自体が優れた競争力を持った産業です。
よって、「関税を引き下げても、あるいは撤廃してもびくともしない程の国際競争力を持った日本の農業」を目指して、日本と世界の繁栄を支えていくべきではないでしょうか。