Archive for the ‘復興・技術・未来’ Category

2018/05/25【有権者に分かり易い選挙戦を】

 柏崎刈羽原発が立地する新潟県の知事選挙が告示され、与党が推す新人と5野党が推す新人の事実上の一騎打ちとなっています。

 今回の知事選挙は、野党系の前知事が女性問題で辞任したことにより行われるもので、原発問題が最大の焦点となっています。

 与党系の候補者は原発再稼動を容認する立場で、野党系の候補者は原発再稼動に反対する立場と位置付けられています。
 

 
 しかし、両候補者共に、現在、県の技術委員会が進めている福島第一原発事故の検証結果を踏まえて原発の可否を判断するとしています。

 これは、検証結果次第で賛成することも反対することもあり得るということのはずですが、実際は、与党系が容認で、野党系が反対ということになっています。

 ですから、両候補者共に主張が極めてあいまいであり、とりわけ野党系の候補者は、はじめから反対の立場を示しつつ、技術委員会の結果を待つということですから、矛盾すら感じます。

 これでは有権者に解り辛い難いのではないでしょうか。

 この新潟県の技術委員会による検証は、現在、国が進めている検証とは異なるものであり、検証に必要な情報が東電やその他の当事者から十分に得られているという保証はありません。

 にもかかわらず、県の技術委員会による検証を根拠に、原発の可否を論ずることには無理があるのではないでしょうか。

 そもそも原発問題は、経済的な観点からだけでなく、国のエネルギー安全保障の観点からも論ずべき問題ですから、一地方自治体の判断で決まる問題ではないと考えます。

 原発議論はもっと冷静に進めるべきではないでしょうか。

2018/03/29【日本の中国製通信NW機器への警戒を】

 トランプ政権は、中国に対してもディールを仕掛け、貿易で有利な条件を引き出そうとしていますが、通信機器はディールの対象外のようです(※)。

 中国との貿易で巨額の赤字を抱える米国ですが、関税の税率アップをチラつかせることで、外需が牽引する中国経済の弱みに付け込んで中国市場の開放を迫り、赤字削減と雇用拡大に繋げる思惑が見て取れます。

 しかし、中国製のIT関連のネットワーク機器に関しては、米国から一切締め出すかのような動きを強めています。

 中国軍との関係が深いとされている中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)のネットワーク機器を巡っては、スパイ行為やサイバー攻撃の懸念から、オバマ政権時から米国内の企業に対して使用しないように勧告がなされていました。

 今回、トランプ政権では一歩踏み込んで、中国企業を念頭に安全保障上の脅威となる外国企業の製品を使うことを禁じる規制を導入するとしています。

 

 サーバーやルーターなどネットワーク機器は高度化・集積化が進みどんどん複雑になっていますが、そこにバックドアやセキュリティーホールを仕掛けられた場合、発見が困難になっていると言われています。

 通信の要であるそうした機器を介せば、容易に情報を盗み見たりサイバー攻撃に利用できたりするので、米国の懸念はもっともです。
 

 一方、日本国内では中国の通信機器企業に対する警戒感は米国ほどではありません。

 特に通信事業者の間では、コストパフォーマンスに優れる中国製の機器を積極的に導入する動きさえあります。

 先の日本年金機構の年金情報の中国企業への再委託があれほど国民を不安にさせた訳ですから、中国製のネットワーク機器の利用についても、政府主導でもっと警戒すべきではないでしょうか。

 対応が遅れるほど通信インフラの構築は進み取り返しがつかなくなります。

※:3月28日付日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28634620X20C18A3FF1000/

2018/03/06【トップブランドが転落する教訓】

 魚沼産コシヒカリが、今年の食味ランキングで「特A」から1つ下の「A」に転落しました。

 魚沼産コシヒカリと言えば、美味しいお米の代名詞であり、ブランド米の頂点とも言える存在であっただけに衝撃を持って受け止められています。
 

 地元の関係者の間では昨年の天候が食味に影響したと考えられていますが、他の産地でも品種改良や生産技術が向上し、美味しいお米が続々と誕生していることも大きく影響しているのではないでしょうか。
 

 
 米だけに限らず頂点に君臨する製品やサービスは、常に他者から「追いつけ追い越せ」と目標にされる存在です。

 ですから、ビジネスの世界では、「現状維持を意図した途端に転落が始まる」などとも言われます。

 その地位を維持するためには、並大抵の努力では済まされず、常に進化が求められます。
 

 
 トップブランドであれば、その努力の姿勢や内容が他者の研究材料にもなります。
 

 故にトップを維持するためには、常により良いものを求めてイノベーションを繰り返す姿勢が必要です。

 高齢化や担い手不足などから、農業は斜陽産業と見られることもありますが、実際は、食糧危機を解決したり、健康寿命の延伸に貢献したりと、世界的な視点から見ても、未来産業とも言える有望な産業です。

 未来産業が本当に未来の基幹産業として発展するためには、更なるイノベーションと価値の創造がカギを握っています。
 

 魚沼産コシヒカリが今回の件をバネにして、再びトップブランドに輝くことを期待したいと思います。

2018/01/24【大雪に際し原発の重要性を考える】

 関東地方は久しぶりの大雪となり、交通が麻痺するなど私たちの生活に影響が出ています。

 生活への影響は交通に留まらず、電力供給にも及んでいます。

 東京電力は、大雪が降った22日、火力発電所の一部がトラブルで送電できなくなり、気温の低下と相まって、電力供給に十分な余裕が無くなったため、管内の利用者に対し節電を呼びかけました。

 東日本大震災以降、東京電力を含めた日本の電力供給について「原発が無くても供給不足は起こらなかったので原発は必要ない」という意見もありますが、今回の大雪で、実際は不測の事態に対処できない可能性があることが改めて浮き彫りとなりました。

 今回の電力供給不安は、火力発電所のトラブルが影響していますが、現在の日本の電力供給は火力発電が多くを占めています。

 火力発電は、発電所のトラブルだけではなく、海外からの輸入に頼っている化石燃料が滞る事態もゼロではないということを念頭に置いておく必要があります。

 また、太陽光発電など再生可能エネルギーを増やすことも必要ですが、太陽光発電は、今回のように「真冬の寒い夜」など電力が必要な時に役に立たないことがあるということも認識しておく必要があります。

 やはり日本にとってエネルギーの安定供給のためには原発は必要です。

 原発は、国の安全保障にとっても重要なインフラなのです。

 日本は、福島第一原発の事故を経験した国として、世界一安全な原発を造って世界に貢献すべきではないでしょうか。

2017/08/12【日本の自動車産業の未来】

 イギリスがガソリンエンジンなど従来型の内燃機関を搭載した自動車の販売を2040年までに禁止することを検討しています。
フランスなどもこうした流れにあると伝えられています。

先進技術と思われていたハイブリッドカー(HV)でさえ、純粋な電気自動車(EV)に比べると税制面で優遇されない国も増えています。

こうした流れを受けて、欧州のボルボ社は、2019年以降に販売する全車を電動化すると発表していますし、同じく欧州のBMW社は、車体に炭素繊維を多用した先進的なEVの製造ラインを既に稼働させています。
また、米国のEV製造販売大手であるテスラ社は、一時、株価の時価総額が全米一になるなどしています。

 一方、日本勢はHVの販売に力を注いてきた経緯があり、EVの販売は、事実上、日産・三菱自の1グループのみです。

 トヨタやホンダは、次世代カーと目される燃料電池車(FCV)の開発に力を注いできました。
反面、EVの一般販売は行っておらず、この分野での出遅れが指摘されています。

 FCVの普及は、車体コストの低減とともに水素を供給するインフラの整備が不可欠なのですが、政府の動きは芳しく無いように映ります。

 このままでは、携帯電話のガラパゴス化と同様、日本が自動車産業の世界潮流に乗り遅れる可能性もあるという議論が今後展開されるかもしれません。

よって、自動車産業は日本の基幹産業の一つなのですから、政府も産業構造の転換に向けて協力にバックアップする必要がありますし、日本の自動車各社も、次代の技術が何かをしっかりと見極めて、開発に注力する必要があります。

2017/08/01【原発が立地する自治体は日本を支えている】

 東京電力は、柏崎刈羽原発の再稼動を目指していますが、先行して審査を進めている6号機と7号機でさえ再稼動の見通しは立っていません。
 

 そうした中、原発が立地する柏崎市の市長が、東京電力社長に対し6号機と7号機の再稼動の条件として、1号機から5号機のいずれかの廃炉計画を2年以内に示すように求めました。
 

 これに対する回答として東京電力側は明言を避けましたが、最終的に全ての原子炉の稼働を経営再建計画の前提としている東京電力にとって、難しい判断となりそうです。
 

 柏崎市側としては、再稼動が見通せず地元経済が停滞する中で、廃炉により経済を活性化したいという思惑があります。
また、条件付きとはいえ再稼動を許容する立場の柏崎市長が、原発の一部の廃炉を条件とすることで、原発反対派を取り込みたいという思惑も感じられます。

 しかし、現状は地元経済の活性化と廃炉は矛盾するため、新たな活性化策を見出す必要があります。
ならば、原発を維持することで持続的に繁栄を築いていくことも選択肢の一つです。

 世界情勢が不安定な中にあっても、日本は資源のほとんどを輸入に頼っています。
よって、原発は安定電源としてエネルギー安全保障上の重要な存在です。

 その原発が立地する地元自治体は、日本を支えていると言っても過言ではなく、日本の誇りでもあります。

2017/05/31【全世帯個別訪問で原発の安全対策を説明】

 東京電力は、福島第一原発の事故以降、原発の再稼動の目途が立っていません。

 東電としては、まずは柏崎刈羽原発の再稼動を優先する考えですが、新潟県知事をはじめとした地元の理解が得られず、経営計画からも目標とする再稼動の時期を明示できない事態となっています。

 再稼動が容易でない背景には、もちろん福島第一原発の事故がありますが、もう一つ、トラブル隠しや原発施設に関する誤った説明など、東電の不祥事があるようです。
自己責任と言ってしまえばそれまでですが、東電に対する地元の信頼が揺らいでいることは事実のようです。

 こうした中、東電は、原発が立地する柏崎市と刈羽村の全世帯4万戸ほどを対象に、原発の安全対策や不祥事の問題を説明するために、戸別訪問を始めました。
戸別訪問を実施するのは今回で3年連続となり、ある意味で涙ぐましい努力と言えます。

 会社の方針とは言え、実際に訪問する社員には、時に厳しい意見が寄せられることもあるでしょうから、その心労が察っせられます。

 原発の再稼動は、経済的な観点からのみから議論されがちですが、実際はエネルギー安全保障の観点から、不測の事態が起こった時に対処できる安定電源として死活的に大切です。

 現場の社員の方々の努力が実って、安全が確認された原発が一日でも早く再稼動されることを願いたいと思います。

2017/03/31【東芝は世界の安全保障にも寄与している】

 東芝は、子会社の米ウェスチングハウス社が連邦破産法の適用を申請したことから、その損失を含め最終赤字が1兆円を超えるとの見通しを明らかにしました。
 

 ウェスチングハウスは原子力関連事業を中心とする会社ですが、原発に批判的な人などからは、東芝が福島第一原発の事故以降の原発に対する逆風を甘く見ていた結果との指摘もあります。
確かに、企業経営とは、結果責任を問われますので、その意味では、東芝側には逆風であり、言い逃れが出来ない状況ではあります。

 しかし、資源の少ない国にとって原発は福島の事故以降も重要なインフラであり、福島の廃炉事業だけでなく、世界的にも原発の建設や廃炉作業の需要があることは確実です。

 にもかかわらず、原発関連の高い技術力を持った会社は世界でも数える程しかありません。
ですから、高い技術力を持ったウェスチングハウスを東芝が買収したこと自体は、東芝の技術力を高める上でも意味があった経営判断と言えます。

 折しも、ウェスチングハウスの破産法適用で、建設中の原発が宙に浮いた状態となった米国の電力会社の幹部が来日し、東芝に対し建設の継続を要請しているのです。
その幹部は、単純に経済的な側面だけでなく、民間企業でありながら国防の側面からも原発の必要性を訴えています(※)。

 日本では、原発を国防の観点から論じる民間企業は少ないのですが、東芝は、原発によるエネルギーの供給に携わることで、日本のみならず世界の安全保障に寄与しているとの気概を持って頂きたいと切に願います。

 日本を含む欧米の原子力関連企業が衰退するということは、すなわち中国の企業が力を持つことを意味します。
東芝には、是非とも再建を期待したいと思います。

※:3月30日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170330/k10010931131000.html?utm_int=news-business_contents_news-main_004

2017/03/18【“報道被害”への賠償は?】

 前橋地方裁判所は、福島第一原発の事故での東電と国の責任を認め、原告の群馬県に避難した人に対する賠償を命じる判決を言い渡しました。
前橋地裁の他に全国17都道府県で1万人以上が集団訴訟を起こしており、今後の裁判に影響を与える可能性があります。

 東電は既に避難した人に対し最大で1千5百万円近い賠償を行っていますが、今回の判決では、原告のうち62人に対して東電と国が合計3千8百万円余りの賠償をするよう命じました。

 また、賠償の対象となった62人の中には自主避難した人も含まれています。
自主的に避難を決めた人の判断は尊重すべきですし、避難をすると決めるに至った過程及び避難先で、多くの困難があったであろうことは察するに余りあると思います。
ただ、放射線防護の観点で科学的合理性が無い避難に対して、どこまで賠償するのか議論の余地は残ったままです。

 しかし、自主避難した人であっても精神的な苦痛を受けたことは事実ですが、そうした人が避難を決断した背景には、放射線に対する不安を煽った当時の報道の影響も大きかったのではないでしょうか。
当時の報道の中には、「福島にはもう人が住めない」とか、「数年後には何万人もの人が癌を発症する」などと言ったものがあり、まさに「風評被害」ならぬ「報道被害」といった状況でした。

 責任の一端はマスコミにもあるのですから、心あるマスコミならば不安を和らげるよう、福島の放射線の実態を正しく伝える努力をすべきではないでしょうか。

2017/02/27【太陽光発電は万能か?】

 オフィス用品を主体とした大手通販会社の埼玉県にある大型倉庫で火災があり、出火から6日目にようやく消し止められました。

 出火原因は消防などが調査中ですが、鎮火までに6日も要したこの火事は異例と言えます。
消火に手間取った原因として、倉庫が窓の少ない特殊な構造であったこと、防火シャッターが早い段階で機能しなくなったことなどが考えられるとのことです。

 そしてもう一つ、手間取った原因として、倉庫の屋根の上には設置されていた太陽電池パネルの存在が指摘されています。
太陽光発電設備は、東日本大震災後、急速に増えていますが、今回の火災では、出火後も太陽電池パネルが発電していることから、屋上に思うように放水できなかったとの証言があります。
放水できなければ、特殊な消火剤などを使用しない限り、火を消せませんし周辺の温度を下げることも困難になります。

 太陽電池は、その変換効率がどんどん高まり高性能化しています。
そうした太陽電池パネルは、火災時だけでなく、災害等で建物が被災した際に、思わぬ事故の原因になることも考えられます。

 阪神淡路大震災では、被災後に電気設備が復旧して送電を再開する際に、通電火災が多発したとの報告がありますが、光さえあれば発電を続けるという太陽電池の特性には十分注意する必要があります。
 

 太陽電池パネルを建物に設置する際には、安全基準があると思いますが、既存の基準で十分安全が確保されているのか、今回の火災を受けて検討する必要がありそうです。
 

 原発に代わるエネルギーとして太陽光発電にも注目が集まっていますが、その普及を妨げるべきではないと思うものの、原発に取って代われるだけの安定電源ではないという認識を持たなければならないのではないでしょうか。

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