Archive for the ‘復興・技術・未来’ Category

2017/08/12【日本の自動車産業の未来】

 イギリスがガソリンエンジンなど従来型の内燃機関を搭載した自動車の販売を2040年までに禁止することを検討しています。
フランスなどもこうした流れにあると伝えられています。

先進技術と思われていたハイブリッドカー(HV)でさえ、純粋な電気自動車(EV)に比べると税制面で優遇されない国も増えています。

こうした流れを受けて、欧州のボルボ社は、2019年以降に販売する全車を電動化すると発表していますし、同じく欧州のBMW社は、車体に炭素繊維を多用した先進的なEVの製造ラインを既に稼働させています。
また、米国のEV製造販売大手であるテスラ社は、一時、株価の時価総額が全米一になるなどしています。

 一方、日本勢はHVの販売に力を注いてきた経緯があり、EVの販売は、事実上、日産・三菱自の1グループのみです。

 トヨタやホンダは、次世代カーと目される燃料電池車(FCV)の開発に力を注いできました。
反面、EVの一般販売は行っておらず、この分野での出遅れが指摘されています。

 FCVの普及は、車体コストの低減とともに水素を供給するインフラの整備が不可欠なのですが、政府の動きは芳しく無いように映ります。

 このままでは、携帯電話のガラパゴス化と同様、日本が自動車産業の世界潮流に乗り遅れる可能性もあるという議論が今後展開されるかもしれません。

よって、自動車産業は日本の基幹産業の一つなのですから、政府も産業構造の転換に向けて協力にバックアップする必要がありますし、日本の自動車各社も、次代の技術が何かをしっかりと見極めて、開発に注力する必要があります。

2017/08/01【原発が立地する自治体は日本を支えている】

 東京電力は、柏崎刈羽原発の再稼動を目指していますが、先行して審査を進めている6号機と7号機でさえ再稼動の見通しは立っていません。
 

 そうした中、原発が立地する柏崎市の市長が、東京電力社長に対し6号機と7号機の再稼動の条件として、1号機から5号機のいずれかの廃炉計画を2年以内に示すように求めました。
 

 これに対する回答として東京電力側は明言を避けましたが、最終的に全ての原子炉の稼働を経営再建計画の前提としている東京電力にとって、難しい判断となりそうです。
 

 柏崎市側としては、再稼動が見通せず地元経済が停滞する中で、廃炉により経済を活性化したいという思惑があります。
また、条件付きとはいえ再稼動を許容する立場の柏崎市長が、原発の一部の廃炉を条件とすることで、原発反対派を取り込みたいという思惑も感じられます。

 しかし、現状は地元経済の活性化と廃炉は矛盾するため、新たな活性化策を見出す必要があります。
ならば、原発を維持することで持続的に繁栄を築いていくことも選択肢の一つです。

 世界情勢が不安定な中にあっても、日本は資源のほとんどを輸入に頼っています。
よって、原発は安定電源としてエネルギー安全保障上の重要な存在です。

 その原発が立地する地元自治体は、日本を支えていると言っても過言ではなく、日本の誇りでもあります。

2017/05/31【全世帯個別訪問で原発の安全対策を説明】

 東京電力は、福島第一原発の事故以降、原発の再稼動の目途が立っていません。

 東電としては、まずは柏崎刈羽原発の再稼動を優先する考えですが、新潟県知事をはじめとした地元の理解が得られず、経営計画からも目標とする再稼動の時期を明示できない事態となっています。

 再稼動が容易でない背景には、もちろん福島第一原発の事故がありますが、もう一つ、トラブル隠しや原発施設に関する誤った説明など、東電の不祥事があるようです。
自己責任と言ってしまえばそれまでですが、東電に対する地元の信頼が揺らいでいることは事実のようです。

 こうした中、東電は、原発が立地する柏崎市と刈羽村の全世帯4万戸ほどを対象に、原発の安全対策や不祥事の問題を説明するために、戸別訪問を始めました。
戸別訪問を実施するのは今回で3年連続となり、ある意味で涙ぐましい努力と言えます。

 会社の方針とは言え、実際に訪問する社員には、時に厳しい意見が寄せられることもあるでしょうから、その心労が察っせられます。

 原発の再稼動は、経済的な観点からのみから議論されがちですが、実際はエネルギー安全保障の観点から、不測の事態が起こった時に対処できる安定電源として死活的に大切です。

 現場の社員の方々の努力が実って、安全が確認された原発が一日でも早く再稼動されることを願いたいと思います。

2017/03/31【東芝は世界の安全保障にも寄与している】

 東芝は、子会社の米ウェスチングハウス社が連邦破産法の適用を申請したことから、その損失を含め最終赤字が1兆円を超えるとの見通しを明らかにしました。
 

 ウェスチングハウスは原子力関連事業を中心とする会社ですが、原発に批判的な人などからは、東芝が福島第一原発の事故以降の原発に対する逆風を甘く見ていた結果との指摘もあります。
確かに、企業経営とは、結果責任を問われますので、その意味では、東芝側には逆風であり、言い逃れが出来ない状況ではあります。

 しかし、資源の少ない国にとって原発は福島の事故以降も重要なインフラであり、福島の廃炉事業だけでなく、世界的にも原発の建設や廃炉作業の需要があることは確実です。

 にもかかわらず、原発関連の高い技術力を持った会社は世界でも数える程しかありません。
ですから、高い技術力を持ったウェスチングハウスを東芝が買収したこと自体は、東芝の技術力を高める上でも意味があった経営判断と言えます。

 折しも、ウェスチングハウスの破産法適用で、建設中の原発が宙に浮いた状態となった米国の電力会社の幹部が来日し、東芝に対し建設の継続を要請しているのです。
その幹部は、単純に経済的な側面だけでなく、民間企業でありながら国防の側面からも原発の必要性を訴えています(※)。

 日本では、原発を国防の観点から論じる民間企業は少ないのですが、東芝は、原発によるエネルギーの供給に携わることで、日本のみならず世界の安全保障に寄与しているとの気概を持って頂きたいと切に願います。

 日本を含む欧米の原子力関連企業が衰退するということは、すなわち中国の企業が力を持つことを意味します。
東芝には、是非とも再建を期待したいと思います。

※:3月30日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170330/k10010931131000.html?utm_int=news-business_contents_news-main_004

2017/03/18【“報道被害”への賠償は?】

 前橋地方裁判所は、福島第一原発の事故での東電と国の責任を認め、原告の群馬県に避難した人に対する賠償を命じる判決を言い渡しました。
前橋地裁の他に全国17都道府県で1万人以上が集団訴訟を起こしており、今後の裁判に影響を与える可能性があります。

 東電は既に避難した人に対し最大で1千5百万円近い賠償を行っていますが、今回の判決では、原告のうち62人に対して東電と国が合計3千8百万円余りの賠償をするよう命じました。

 また、賠償の対象となった62人の中には自主避難した人も含まれています。
自主的に避難を決めた人の判断は尊重すべきですし、避難をすると決めるに至った過程及び避難先で、多くの困難があったであろうことは察するに余りあると思います。
ただ、放射線防護の観点で科学的合理性が無い避難に対して、どこまで賠償するのか議論の余地は残ったままです。

 しかし、自主避難した人であっても精神的な苦痛を受けたことは事実ですが、そうした人が避難を決断した背景には、放射線に対する不安を煽った当時の報道の影響も大きかったのではないでしょうか。
当時の報道の中には、「福島にはもう人が住めない」とか、「数年後には何万人もの人が癌を発症する」などと言ったものがあり、まさに「風評被害」ならぬ「報道被害」といった状況でした。

 責任の一端はマスコミにもあるのですから、心あるマスコミならば不安を和らげるよう、福島の放射線の実態を正しく伝える努力をすべきではないでしょうか。

2017/02/27【太陽光発電は万能か?】

 オフィス用品を主体とした大手通販会社の埼玉県にある大型倉庫で火災があり、出火から6日目にようやく消し止められました。

 出火原因は消防などが調査中ですが、鎮火までに6日も要したこの火事は異例と言えます。
消火に手間取った原因として、倉庫が窓の少ない特殊な構造であったこと、防火シャッターが早い段階で機能しなくなったことなどが考えられるとのことです。

 そしてもう一つ、手間取った原因として、倉庫の屋根の上には設置されていた太陽電池パネルの存在が指摘されています。
太陽光発電設備は、東日本大震災後、急速に増えていますが、今回の火災では、出火後も太陽電池パネルが発電していることから、屋上に思うように放水できなかったとの証言があります。
放水できなければ、特殊な消火剤などを使用しない限り、火を消せませんし周辺の温度を下げることも困難になります。

 太陽電池は、その変換効率がどんどん高まり高性能化しています。
そうした太陽電池パネルは、火災時だけでなく、災害等で建物が被災した際に、思わぬ事故の原因になることも考えられます。

 阪神淡路大震災では、被災後に電気設備が復旧して送電を再開する際に、通電火災が多発したとの報告がありますが、光さえあれば発電を続けるという太陽電池の特性には十分注意する必要があります。
 

 太陽電池パネルを建物に設置する際には、安全基準があると思いますが、既存の基準で十分安全が確保されているのか、今回の火災を受けて検討する必要がありそうです。
 

 原発に代わるエネルギーとして太陽光発電にも注目が集まっていますが、その普及を妨げるべきではないと思うものの、原発に取って代われるだけの安定電源ではないという認識を持たなければならないのではないでしょうか。

2017/02/19【飛行時間の短縮は大きな経済価値を生み出す】

 日本中の期待を集めて三菱航空機が開発を続けている日本初の国産ジェット旅客機「MRJ」は、2年後の引き渡しを目指していますが、過日、5度目となる納期の遅れが発表されました。

 MRJは定員が70席から90席程度の小型の旅客機です。
燃費などの環境性能や、広さなどの環境性能を特徴としており、既に内外の航空会社から受注を得ています。

 しかし、MRJと似たコンセプトを持つ同じクラスの機体は、カナダやブラジルのライバル社も開発を進めており、今後、熾烈な販売競争が展開される可能性があります。

 一方、米国のベンチャー企業であるBoom Technology社は、同程度の小型旅客機でありながら、超音速で飛行する機体の開発を進めています。
13年前に事実上唯一の超音速旅客機が、安全性や環境性能などが原因で退役して以降、旅客機と言えば亜音速で飛行する乗り物ということが当たり前となっていました。
しかし、現代では、効率的なエンジンや、空力設計技術の進展で、最新の戦闘機はアフターバーナーと言った燃料を大量に消費する装置を使用しなくても、超音速での巡航飛行が可能となっています。

 そうした技術の延長線上で、Boom社は民間向けの旅客機を開発しています。
同社が言う通りに2020年代に航空会社の採算に見合った機体が出来上がるかは分かりませんが、例えば、長距離の国際線の飛行時間が現在の半分程度になるとすれば画期的なことではないでしょうか。

 移動時間を短縮することは、それだけで経済的な価値があります。
日本も、JAXAが超音速飛行技術の蓄積を進めていますが、ライバルの追従を許さない独創的なコンセプトで、世界の航空宇宙産業をリードするような存在となってほしいと考えます。

2017/02/16【原発再稼動の雑感】

 東京電力は、原子力規制委員会に対し、柏崎刈羽原発の事故対応の拠点となる建物「免震重要棟」の耐震性を間違って報告していたと発表しました(※)。
これにより、再稼働に向けた審査に影響を与える可能があります。

 また、柏崎刈羽原発が立地する新潟県や柏崎市は、隠ぺいと見なされる事案が明らかになるなど、今回の件のみならず、東電の度重なる失態に不信感を高めています。

 確かに、東電の企業体質は改めるべき点もありますが、東電の社員やその協力企業の方々は、原発の安全性の確保や電力の安定供給に向けて日々真面目に取り組んでいるということを忘れてはならないと思います。

 同時に、立地自治体についても、「経済的な利益を優先して原発を誘致した」などと言われることがありますが、住民の皆様の思いを汲む必要もあります。
立地自治体には経済的な恩恵があることは事実ですが、住民の中には、「大都市に電源を供給している責任と自負がある」と語る方もいます。
原発は、ごみ処理場や基地などと並んで迷惑施設と言われることがありますが、誰かが引き受けなければならない施設を引き受けたという思いもあるのではないでしょうか。

 エネルギー自給率が決定的に乏しい日本にとって原発の再稼動は必要です。
原発の再稼動や事故対応に関連する多くの人々に思いをはせた上で、原発再稼動によるエネルギー安全保障の確保という国益を考えていきたいと思います。

※:2月15日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170215/k10010876891000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_007

2017/01/26【宇宙空間の防衛能力強化を】

 防衛省の通信衛星が、H2Aロケット32号機により打ち上げられ、軌道投入に成功し、「きらめき2号」と命名されました。
きらめき2号は、防衛省はじめての独自で運用する衛星で、陸海空の3自衛隊が同一のネットワークを介して、より広範囲に大容量の通信を可能とするものです。

 米国が開発した「リンク16」と呼ばれる戦術データの共有方式に代表されるように、現代の戦争は、部隊間または個々の航空機・艦船・車両などの間で、如何に円滑に情報を共有できるかが戦況を左右する重要な要素となっています。

 防衛省では、今後、防衛通信衛星を更に2機打ち上げる予定で、システムが完成すれば、部隊間の統合運用をより円滑に行えるようになるため、有事のみならず大規模災害の際にも、迅速かつ効率的に対応することが可能となります。

 ただ、今回の衛星打ち上げは、具体的には、強引な海洋進出を図る中国や、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への対応を念頭に置いているものと見られますが、その中国は、既に衛星攻撃能力を保有しているということを忘れてはなりません。

 きらめき2号が衛星攻撃兵器に対してどのような防御能力を有しているのか公表されていませんが、瞬時に軌道を変える能力などは有していいないものと見られます。
スターウォーズの分野では、日本は明らかに米中に劣っています。

 国会の代表質問で安倍首相は、防衛力を強化すると答弁していますが、日本は宇宙空間における防衛能力の強化も図る必要があるのではないでしょうか。

2017/01/20【阪神淡路大震災を教訓として】

 1月17日は阪神淡路大震災から22年目となる日でした。
私も神戸の地に少なからぬ縁のある人間として、お亡くなりになられた方々に深い哀悼の意を捧げると共に、ご遺族の方々には心からお悔やみ申し上げたいと思います。

 阪神淡路大震災では6千4百人以上の方々が亡くなられましたが、その後、現在に至るまでに様々な検証が行われ、必要な制度やインフラが整備され、防災や減災、被災後の支援などに生かされるようになりました。

 しかし、阪神淡路大震災を教訓として、制度やインフラ以上に強く心に残ったことがあります。
それは、リーダーの心持ちや判断力が人の命を救う上で如何に大切かということです。

 震災発生時の首相は、旧社会党出身の方で、連立与党として政権につく際に、反自衛隊の考え方を改めて、自衛隊の存在を容認する立場に変えた人物でした。
ですから、心の中には自衛隊の存在を好意的に思っていなかったということもあり、震災発生直後の初動対応に自衛隊の投入決定が遅れてしまったと後に批判されています。

 この他にも、震災発生当日の首相の対応には様々な批判がありますが、首相が自らの主義信条を越えて、自衛隊の派遣や米軍の支援の申し出を受け入れることを即断していれば、救われた命があったのではないでしょうか。

 一国のリーダーが、どんなに温和で心優しい人物であったとしても、一たび判断を誤れば亡国に至ります。
結果で判断される政治家の責任の重さを改めて胸に刻みたいと思います。

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