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2017/03/09【外交官を人質に取る前近代国家】

 金正男氏の殺害を巡って、マレーシアと北朝鮮の関係が悪化しています。
7日には、北朝鮮は大使館職員など北朝鮮に滞在するマレーシア人の出国を一時的に認めないと発表しました。

 北朝鮮の言う「一時的」というのは建前に過ぎず、事実上の人質としてマレーシアに揺さぶりをかけていることは明白です。
外交官を人質に取る行為は、近代国家としては有り得ず、北朝鮮相手に外交は成立しないことを示しています。

 これに対し、マレーシア側も北朝鮮人の出国制限で応酬しているものの、人質の安全を優先する観点から、国交断絶までは考えていない旨を表明せざるを得ない事態となっています。

 マレーシアは、北朝鮮との友好関係を利用され、自国内で外国の工作員による暗殺が決行され、更にその暗殺には兵器級の化学薬品が使用されました。
そして、自国の法に則り事件を処理しているにもかかわらず、北朝鮮から猛烈な非難を浴び、あげくの果てに在外公館の職員を人爺に取られるという、まさに踏んだり蹴ったりの状態です。

 これも、北朝鮮をまがいなりにも友好国として関係を保ってきたツケと言えばそれまでですが、マレーシアに対して同情を禁じ得ません。

 国際社会は、外交官を人質とする北朝鮮の卑劣な行為を徹底的に糾弾すべきなのですが、国連は北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応に力を削がれている印象であり、まんまと北朝鮮の策略にはまっているようにも見えます。
外交官を人質とする行為は、重大な国際法違反であり、国際社会はもっと声をあげるべきではないでしょうか。

 マレーシアとしては、北朝鮮との交渉で、関係の深い中国による働きかけに期待していると思われますが、日本もアジアのリーダー国家として、マレーシアを強力にサポートすべきではないでしょうか。