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2013/11/05【政治責任は時の政府が負うことを明確に】

山本太郎議員が、秋の園遊会で天皇陛下に手紙を渡したことが問題となっており(※)、11月5日に参院議院運営委員会で再度対応について協議する予定になっています。

山本議員は、天皇陛下に「東京電力福島第一原子力発電所の作業員の現状などを伝えたかった」としていますが、天皇陛下に伝えることによって何を期待していたのでしょうか。

天皇陛下には、こうした問題について具体的な権限は持っていません。

もし、作業員の現状に問題があると考えるなら、参議院議員である自らが具体的な行動を起こすべきではないでしょうか。

天皇陛下の権威を利用して、自らの主義主張を認めさせたいと考えたのであれば、天皇陛下に失礼であると同時に、山本議員に国会議員としての資格があるか大いに疑問です。

一方で、今回、天皇陛下の政治利用にあたるとの指摘がありますが、この問題について現行制度ではどのようになっているのでしょうか。

例えば、日本国憲法では、天皇は「国政に関する権能は有しない」とされている一方で、内閣総理大臣、最高裁長官の任命を行うことになっています。

形式的とはいえ、天皇の国事行為がなければ政治が動かないということになっています。

二千年以上に渡って続いている皇室は世界に誇る日本の伝統であり、今後も伝統を守っていくべきであると考えます。

しかし、現在のように天皇陛下の政治的な責任が海外から見て曖昧な状態は、太平洋戦争の敗戦時のような状況が訪れた場合、再び天皇制が危機を迎えてしまうことも考えられます。

従って、天皇制を守るためにも政治責任は時の政府が負うことを明確にしておくことを考える必要があるのではないでしょうか。

※:11月1日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131101-OYT1T00559.htm