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2013/10/12【シリア問題の本質は化学兵器の全廃ではない】

2013年のノーベル平和賞は、化学兵器禁止機関(OPCW)に決まりました。

OPCWは、1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づき設立された国際機関であり、世界的な化学兵器の全面禁止及び不拡散のための活動を行っています(※1)。

OPCWは現在、内戦下のシリアで化学兵器を廃棄するための活動を行っており、来年前半までに全ての化学兵器を廃棄する計画です。

当初、シリアのアサド政権は化学兵器の廃棄に消極的でしたが、米国が軍事介入を検討する中でロシアの仲介を経て、現在は廃棄に協力的とされています。

しかし、激戦が続く中で国際機関がどこまで自由かつ実効的に活動できるのか疑問です。

また、「貧者の核兵器」とも言われ、戦略的に意味のある化学兵器を、アサド政権が本当に手放す意思があるのかも疑問です。

化学兵器は、いくらでも隠すことが可能であり、アサド大統領は、本心では手放す意思は無いと考えることもできるのではないでしょうか(※2)。

OPCWをはじめ国際社会の手腕が試されます。

ただ、シリア内戦では、化学兵器の使用で千人以上の死者が出たとされており、米ロの駆け引きもあり化学兵器にばかり焦点が当たっているようです。

しかし、化学兵器の全廃がシリア問題の本質ではありません。

国際社会は、戦闘開始以来、11万人以上にもなるとされる犠牲者が出ているシリア内戦を、如何に終結させるかということを真剣に考えねばなりません。

※1:外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/cwc/opcw.html

※2:大川隆法公開霊言「Spiritual Messages from the Guardian Spirit of President Assad―アサド大統領のスピリチュアル・メッセージ―」http://the-liberty.com/article.php?item_id=6699