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2013/08/28【同じ公官庁の増員であっても意義に大きな開きが】

海上保安庁は、来年度予算案の概算要求で、前年度から10%以上増額した1960億円を計上しました(※1)。

沖縄県の尖閣諸島周辺での中国の公船への対応で、海上保安庁は、今後、巡視船を増強するとともに、尖閣諸島専門のチームを編成する計画です。

これに伴い人員についても、来年度は、この40年間で最大となるおよそ500人の増員を行う方針とのことです。

尖閣諸島周辺では、8月27日も中国海警局の船3隻が日本の領海に侵入しており、海上保安庁は連日ギリギリの対応を強いられているとのことです。

中国の挑発的な行動には、自衛隊と連携して断固たる姿勢を示すべきですが、自衛隊が前面に出ることができない状況であるならば、日本の主権を守るために海上保安官の増員は至極当然な措置です。

一方で、日本の公官庁の中で同じく増員を検討していると伝えられているところがあります。

それは、中小企業庁と公正取引委員会です。

消費増税を見据え、流通業者などが増税分の価格転嫁を拒んだりしないよう監視するために臨時職員として、約600人の採用を検討しているとのことです(※2)。

こちらも、同組織の臨時職員の採用としては過去最大規模とのことです。

しかし、消費増税により財政赤字を削減するなどと言いながら、その増税のために600人分もの人件費を増やすということは如何なものでしょうか。

消費増税は、文字通り消費にブレーキを掛けるものですから、経済が冷え込み他の税を含む税収全体では後に減収になる可能性が高いものです。

消費増税を見送る可能性が残っている中で、こうした増税路線を既成化するやり方は問題です。

同じ公官庁の人員の増員であっても、国民のためという観点から、その目的と効果に大きな開きがあるように思えます。

※1:8月27日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20130827/k10014065451000.html

※2:8月24日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC23014_T20C13A8MM8000/