政府は、国家安全保障会議(日本版NSC)の創設について、関連法案の要綱を有識者会議に提示しました(※)。
この会議は、米国のNSCをモデルとし、国の安全に関わる事件や問題の情報を収集・分析して首相に届けたり、外交・安全保障の長期的な政策を立てたりする組織のことです。
前回の安倍内閣が法案を作りましたが、退陣に伴って立ち消えになっていました。
中国や北朝鮮などの軍事的な脅威が高まる東アジア情勢の中、とかく長期的な戦略に欠けると指摘される日本の外交を立て直すために、日本版NSCは有効な手立ての一つであると考えます。
今年1月に発生したアルジェリアでの邦人人質事件では、情報が一元化されず錯綜し混乱しました。
また、中国による沖縄周辺における領海侵犯事案など威嚇行為が日増しにエスカレートしており、対応を誤れば国家の主権が脅かされかねない状況が続いています。
更に、最近では、韓国が北朝鮮と対峙する上で、日米韓から日本を外し、新たに中米韓で当たるとする姿勢を見せています。
これは安全保障の枠組みの変更にも繋がる流れであり、日本はそうした事態も視野に入れた独自の外交を展開する必要があります。
こうした中、日本版NSCが設立されれば、各省庁との連絡や情報共有がスムーズになり、外交・安全保障の決定をより的確に行えるようになるはずです。
そのためには、いつものようにこうした組織が、官僚によって骨抜きにされないか注意して見ていく必要があります。
※:5月28日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130528-OYT1T01068.htm?from=ylist