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2011/12/05【ギリシャ・イタリアに見る「福祉国家を成り立たせなくしているのは“公的年金”!?」という視点とは】

野田首相は11月25日の参議院本会議で、2013年の通常国会に公的年金制度の抜本改革関連法案提出を目指す考えを明らかにしました(※1)。これに先立つ20日、民主党の前原政調会長は、公的年金制度の抜本改革の財源確保で必要となる消費税率について、将来的には「10%では不足する」との考えを示唆しました(※2)。

野田政権は、ギリシャやイタリアなどの借金財政からくるユーロ危機に関して、「日本としては消費税率を引き上げて社会保障を成り立たせなければならない」と考えているようですが、現実には、先進国の福祉国家そのものが成り立たなくなっているとの指摘があります。

10日のウォールストリート・ジャーナル日本版は、「ギリシャ、スペイン、ポルトガル、またフランスと同様、イタリアでは社会福祉制度が行き詰まりを見せている」「イタリアやその他の欧州諸国が示す教訓とは、税金が高く、成長の低い福祉国家になってはならない、ということだ。必ず来るその報いは、不愉快で猛烈で、長引くことになる」と指摘しています。

つまり、ギリシャやイタリアなど、福祉国家を成り立たせなくしているのは、公的年金だというのです。日本も、現状の給付水準を消費税で賄うとすれば、税率は10%どころか30%以上必要との試算があります。現行の年金給付水準では、若い世代ほど納付した年金の合計に対して将来給付される額がマイナスになり、これでは若い世代の納付意欲が無くなるわけです。

「国家が運営するねずみ講」ともいえる現行年金制度は早急に改めるべきですが、野田首相が表明した2010年代半ばまでに消費税を10%に引き上げることは、まさに「税金が高く、成長の低い福祉国家」への道であり、「その報いは、不愉快で猛烈で、長引く」ものとなます。

政府や財務省は、「安定的な財源」として消費税をあげています。しかし、「増税」を一般企業で考えれば、「売上げが少ないから商品の値段を上げる」のと一緒で、国民の可処分所得が増えていない状況での値上げ(=増税)は、かえって売上げ(=税収)を減らします。必要なのは増税ではなくむしろ減税です。よって、年金は積立方式を検討するとともに、まずは景気回復を図ることを優先すべきです。

※1:11月25日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111125-OYT1T00761.htm

※2:11月20日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111120-OYT1T00494.htm?from=popin