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2011/05/30 【羽田空港に船着き場、観光・防災に活用、7月から発着可能】

【羽田空港に船着き場、観光・防災に活用、7月から発着可能】2011年5月24日 日経より

都内の河川に船着き場を設け、観光や防災に役立てようという民間、自治体の動きが活発になってきた。

羽田空港の南側の多摩川沿いではチャーター船や屋形船が発着できる船着き場が年内に完成する。

都内では隅田川や荒川沿いなどに2018年度までに10カ所が開設の予定。

地震など大規模災害で鉄道、道路などがマヒした際に、救援物資を運ぶ防災拠点としても活用する。

羽田空港の船着き場は空港施設を運営する日本空港ビルデングが建設する。かつて石油会社がタンカーのバースとして使用していた場所を譲り受け、現在工事が進行中。

桟橋をつくる第1期工事は約2億円をかけ6月中に完了の予定。早ければ7月上旬から船の発着が可能になる。

第2期工事では旅客用の待合室を建てる。年内にも完成する見通しだ。延べ床面積は80平方メートル。

羽田空港は昨年10月に新しい国際線のターミナルビルが開業。羽田を玄関口とする海外からの旅行ツアーなどの増加が予想される。

一方、東日本大震災や東京電力福島第1原子力発電所の事故で、外国人観光全般に逆風が吹いている。

屋形船や遊覧クルージングなどは外国人旅行客からの人気が高い。水上交通の強化で観光産業のテコ入れをしたい考えだ。

羽田の船着き場が外国人の訪問客が多い横浜港などに近い利点も生かす。都内の海運会社によると、横浜港にはジェット船で1時間以内で移動可能という。

自治体は近い将来に予想される首都直下型地震に備え、防災上の観点からも整備を急いでいる。

東京都や23区が進めている船着き場の新設では、大田区が羽田空港そばの海老取川に計画している。台東区が浅草地区に設置するほか、荒川区なども開設の予定。

木造家屋が密集した地域が多い隅田川、荒川沿いに船着き場を設け、災害時に水上ルートによる救助や避難に役立てる狙いがある。都も築地市場(東京・中央)のそばに設ける方針だ。

都内にはすでに、官民合わせて防災用の船着き場が約60カ所ある。

災害などの緊急時にスムーズに利用できるよう、都は併せて使用する際の手続きの簡略化など運用の改善を検討している。

引用、以上。

今回の震災では、基幹となる鉄道・道路交通が寸断され、回復までも長い時間がかかることが分かりました。

鉄道・道路交通インフラの脆弱性を克服すべく、全国各地で、防災と観光の共存に向けた交通網のあり方が検討されています。

都内では観光や防災を目的として、羽田空港のみならず、河川に船着き場を設ける動きも活発になっています。

その分、国内外から送られてくる救援物資等がヘリコプターや船によって輸送されたり、代替の交通機関として船が利用されるなど、陸・海・空にわたる交通手段の多重化の必要性が明確になりました。

海上交通は地方のみならず、大都市圏の震災対策としても極めて重要です。

阪神大震災の際は、救援物資は海路で輸送され、鉄道・道路等が麻痺状態の間、市民にとって欠かせない交通機関となったのが海上交通です。

東京や大阪なども、かつては「水の都」として、水路を通じた運輸網が発展していた時期もあり、水上交通網を整備しておくことは「都市の生命線」になる可能性もあります。