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2011/04/10 【防波堤3メートル超の津波で家屋流失、土木学会】

【防波堤3メートル超の津波で家屋流失、土木学会】2011年4月9日 日経より

土木学会は8日、東京都内で東日本大震災の現地調査報告会を開いた。

福島県いわき市の海岸を視察した東京大学の佐藤慎司教授は「津波が防波堤を1メートル超えたレベルなら、浸水程度の被害で済むが、3メートル以上だと木造家屋はほとんど流失し、防波堤自体も壊れていた」と述べた。

防波堤は想定を超す大津波には無力であることが判明。

佐藤教授は「予報、警報の活用や素早い避難を組み合わせるのが現実的な津波対策」と報告した。

湾の入り口に巨大防波堤を築いた岩手県大船渡市の視察結果も報告された。

防波堤がない周辺地域には高さ12メートル以上の津波が押し寄せたが、防波堤内では7~8メートルとやや低くなった。

津波が防波堤にぶつかって水流が弱くなったため、原形をとどめる家屋が多かったという。

引用、以上。

日経新聞は先日も菅直人氏の福島原発視察を評価していましたが、今回も「防波堤は無力である」ように報道しており、民主党の「コンクリートから人へ」を支援しているかに見えます。

「防波堤は想定を超す大津波には無力であることが判明」という表記は、明らかにミスリードです。

ニュースソースとなっている「土木学会東日本大震災特別委員会総合調査団 調査速報会報告」をよく読めば、その主旨が意図的にねじ曲げられていることは明白です。

同報告によれば、佐藤教授は「天端上2mを超えると堤防が破壊される事例多い→越流しても破壊しない構造に」という防波堤強化の提言をしているのであって「無力である」と結論づけているわけではありません。

また、同報告では「海岸堤防や土堤が浸水を小さくした所が多い」として、茨城県鉾田市 京知釜海岸では「一部破壊しながらも、海岸堤防が浸水被害を軽減」として写真も掲載されています。

さらに、千葉県九十九里浜旭市の小河川の河口では「海岸堤防が切れているので津波が集中」として、海岸堤防の必要性を指摘しています。

また、本記事では「佐藤教授は『予報、警報の活用や素早い避難を組み合わせるのが現実的な津波対策』と報告した」として防波堤強化が現実的でない印象を与えていますが、実際には佐藤教授は「ハード対策(堤防・防波堤など)とソフト対策 (予警報・避難・防災意識・まちづくり)」の強化を提言しています。

防波堤より高い津波が来ても、防波堤があることで津波の力や速度が一時的に弱まり、避難する時間をつくったり、浸水被害を軽減する効果があり、「(堤防の)想定を超す大津波には無力」ということはありません。

亡国大臣である蓮舫氏は事業仕分けで「200年に一度あるかないかの地震に、備えや研究をする必要性があるのですか?」と詰問していますが、幸福実現党は「千年に一度の津波」を想定して、堤防の高さ、強度を強化すべきだと提言しています。

もちろん、堤防だけでなく、地震や津波に耐えられる建物の強化や避難手段の多様化等、あらゆる事態を想定して、「防災大国・ニッポン」に向けて創意工夫を重ねていくべきということは言うまでもありません。