麻生財務相は、日銀の物価目標2%について「こだわりすぎるとおかしくなる」と述べ、2%の目標に必ずしもこだわらないとの考えを示しました(※)。
これは、デフレに悩む6年前に日銀が物価目標として2%を掲げ、大規模な金融緩和を実施したにもかかわらず、未だに2%の水準に程遠いことから、金融緩和による負の側面が大きくなるとの認識を示したものと解されているものです。
確かに、大規模な金融緩和により金利がゼロに近い水準であったり、あるいはマイナスであったりする状況が長引けば、それは資本主義の精神を破壊してしまうことにもなりかねません。
しかも、何であって「○○すぎ」というのは良くないというのは当たり前のことです。
その意味で麻生氏の発言はもっともです。
しかし、もともと物価目標は掲げたのは日銀だけでなく、政府自身だったはずです。
ですから、日銀が大規模な金融緩和で市場に大量の資金を供給する一方で、政府にも民間が投資にお金をどんどん回したくなるような環境を作る責任があったはずですし、6年の間に新たな成長戦略を軌道に乗せる責任もあったのではないでしょうか。
ですから、うがった見方をすれば、今年10月に消費増税を実施するので、一段とデフレ脱却が困難となる状況を見越して、今のうちに2%の目標を撤回し予防線を張ったのかもしれません。
もしそうならば、消費増税せずに物価目標を達成に導くことが先ではないでしょうか。
増税は、政府が民間投資の活力を奪う側面があるのです。
そもそも、将来、立て続けに増税されることが分かっていながら、能天気にお金を使う人などいません。
今からでも遅くはありませんから、消費増税は撤回すべきではないでしょうか。
※:3月15日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20190315/k10011849071000.html