消費増税と共に導入予定の軽減税率に対応するため、食品などを販売する事業者はレジの入れ替えや受発注システムの改修を急いでいます。
しかし、中小の事業者の中には、費用の問題から簡単に入れ替えや改修ができないとの悩みを抱えているところもあると聞きます。
これに対し政府は、「軽減税率対策補助金があるから、それを活用すればいい」と言います。
確かに、レジの新規導入や改修に対して、1台当たり20万円の補助を上限とする軽減税率対策補助金A型という制度がありますし、電子的な受発注システムの改修などに対しては1千万円の補助を上限とする同じくB型という制度があります。
これらの補助金は、軽減税率への対応を迫られている事業者にとってはありがたい制度に見えます。
しかし、これらの補助制度には全て補助率が設定されており、全額補助されるわけではないのです。
例えば、A型の場合の補助率は、導入費用が3万円未満の機器は4分の3、同じく3万円以上が3分の2ですし、B型の場合も3分の2です。
従って、軽減税率に対応するために新たに機器を導入したり改修したりして、費用が発生した場合、事業者には必ず出費が生じるということになります。
しかも、この費用負担は、投資として、将来、富を生む訳でもないのです。
過日の厚生労働省による統計不正で明らかになりましたが、日本の実質賃金はほとんど上がっていません。
そうした中で、消費税増税が実施されれば、たとえ軽減税率が適用されたとしても、可処分所得が増えない中では、消費が落ち込むことは目に見えています。
それに加えて、事業者には消費税導入に伴う費用負担が発生する訳ですから、まさに踏んだり蹴ったりです。
今からでも遅くはありません。
中小の事業者いじめでもある消費増税は、撤回すべきではないでしょうか。