原発に反対する野党の政治家が、「原発はオワコンだ」などと討論番組で発言するのを見聞きします。
もともと「オワコン」とは、「終わったコンテンツ」という意味です。
コンテンツとはインターネットや他のメディアで提供される動画や音楽など情報の中身のことを指し、オワコンとは流行が過ぎ去ったり役目を終えたりしたコンテンツということになります。
転じて、先の政治家は、インターネット上のコンテンツに限らず時代遅れのものを指す言葉として「オワコン」という言葉を使ったのかもしれません。
だとすれば、流行りのスラングを使って反原発を象徴的に表現したかったのでしょうが、政治家の発する言葉としては軽薄な印象が拭えません。
なぜならば、現実に避難生活を続けている人がいる訳ですし、世界的に原発の利用が禁止されている訳ではないからです。
事実、原発には維持するべき理由があります。
福島第一原発の事故以降も、原発は資源の無い日本にとって、安全保障上、重要な安定電源である事実に変わりはありません。
また、福島第一原発の事故以降、世界で原発の建設が縮小傾向にあることは事実ですが、それでもなお、原発の持つメリットを評価し一定の需要があることも事実です。
そうした需要に対して、福島第一原発の事故を経験した日本こそ、世界一安全な原発を提供する責務があるのではないでしょうか。
更に、伊方原発の再稼動では、阿蘇山の破滅的噴火が議論になりましたが、破滅的噴火が万一起こったとすれば、原発に噴火の影響が直接及ぶことよりも、噴火によってもたらされる寒冷化で太陽光発電の効率が低下する方がよほど現実的ではないでしょうか。
ですから、原発はまだまだオワコンではありません。
日本には、長きに渡って培ってきた高い原子力技術があります。
技術者の流出が伝えられる中、日本でも技術者が活躍する場を閉ざしてはならないと考えます。