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2018/12/08【監視カメラと社会のあり方】

 10月の東京渋谷でのハロウィン騒動で、軽自動車を横転させるなど常軌を逸した行為を行った人物4人が逮捕されました。

 警察による地道な捜査の結果、1カ月以上経った今月、ようやく容疑者の逮捕にこぎ着けました。

 他に11人についても書類送検する予定とのことです。
 

 この捜査に威力を発揮したのが最新の映像解析技術です。

 騒動には多くの人物が関係していましたが、互いに面識がないなど、当初の捜査は難航した模様です。

 しかし、騒動の当時、スマホなどで多くの動画などが撮影されており、事件現場だけでなく、周辺の監視カメラの映像も分析するなどして、警視庁は15人の容疑者を特定していきました。
 

 こうしたスマホや監視カメラの映像が、犯罪捜査に役立つとともに犯罪を未然に防止するなどして、社会の安心・安全に寄与するのであれば国民にとって有益といえます。
 

 一方で、国家が監視カメラにより国民の行動を常時監視するようになると、それは明らかに行き過ぎです。

 しかし、そうした監視社会が実現しつつあるのが中国です。

 中国では、「天網」や「スカイネット」と呼ばれるAIを利用した監視カメラ網が全国で整備されつつあります。

 大都市部では整備が完了し、2020年の全土での構築を目指しているとされ、監視カメラの総数は数億台にまでのぼると見られています。

 自国民13億人の中から1人を数秒で特定することが可能とされ、国内の外国人に対しても適用されています。
 

 こうした監視社会は明らかにやりすぎです。

 神仏を信じ、あの世の存在を認める真の信仰者であれば、神仏が常に見ていると考えて自らを律して行動するものですが、政府や権力者が常に国民の行動を監視している状態は、警戒心や恐怖心が支配する社会になりかねません。
 

 中国は、治安維持というよりは、政権維持のためにも監視システムを整備しているように思われます。

 そこまでしなければ政権を維持できないということであれば、やはり統治機構そのものに大きな誤りがあるということの表れではないでしょうか。