海上自衛隊の潜水艦「くろしお」が、南シナ海で他の自衛艦と演習を行った後、ベトナムのカムラン湾に入港しました。
ベトナムに海上自衛隊の潜水艦が寄港するのは初めてですし、潜水艦の行動自体を公表することも極めて異例です。
演習を行った海域は中国が主張する南シナ海の九段線の内側と見られ、西沙諸島などで中国と対峙しているベトナムとの連携も示す形となり、中国に対する強い牽制となるものです。
「くろしお」は、世界的に見ても高い能力を有する非原子力推進の潜水艦ですが、最新の「そうりゅう」型などに比べると非大気依存推進に対応していないなど装備の面で見劣りする部分があります。
その意味で、中国を過度に刺激しないという配慮があるのかもしれませんが、一世代前のディーゼル・エレクトリック方式の潜水艦であっても、長駆、南シナ海まで進出し作戦行動を行う能力を示したことは、大きな意味があるのではないでしょうか。
中国は、今回の自衛艦隊の行動を含め南シナ海の問題について、域外の国が関与すれば地内の安定を損ねるとして批判しています。
しかし、中国の軍事力と南シナ海で係争を抱える他のASEAN諸国の軍事力には大きな開きがあるので、日本や米国などが中国への牽制を強めることは、むしろ歓迎されています。
日本は、地域のリーダー国家として、責任ある行動を強めていくべきと考えます。
ですから、今後は、中国に国際法の順守を促すため、海上自衛艦も中国が造成した人工島の12海里内を航行する「航行の自由作戦」に参加すべきではないでしょうか。