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2018/08/20【障害者の就職機会問題と霊的人生観】

 複数の中央省庁が法律で定める雇用者数を水増ししていた疑いがある問題で、共産党の小池書記局長は、「障害者は就職の機会が非常に少ないわけで、だからこそ障害者雇用率を設定している。水増ししていたということは、障害者の働く権利を国が奪っていたということになる」として政府を批判しています(※)。

 
 確かに、以前は、一般企業は障害者というだけで雇用を敬遠する傾向がありました。

 しかし、障害者雇用促進法が成立し、一定以上の規模の企業に対し、障害者の雇用が義務化され、法定の雇用率を下回った企業は、事実上の罰金である雇用納付金を納めることになったことを受けて、企業も障害者雇用を進めるようになりました。

 また、まだ不十分とは言え、パラリンピックなどの影響もあり障害者に対する理解が少しずつ進んでいる中で、職種によっては、障害者は健常者と何らそん色ない働きをしてくれるということが理解されるようになりました。

 更に、障害者を雇用する企業は、職場のバリアフリー化などのコストがかかっても、企業イメージの向上にも繋がるとして、積極的に障害者雇用を進める企業も現れています。

 これに対し、法定の雇用率が適用されない小規模の事業所などでは、まだまだ障害者雇用が進んでいないことは事実ですし、重度の障害者の雇用も進んでいないことも事実です。

 しかし、働く意思があって、実際に働ける障害者は、実は売り手市場なのです。

 今回の問題も、求人に見合うだけの数の障害者を確保できていないことが背景の一つとしてある可能性があります。

 障害者の方々は、ただでさえたいへんな苦労をして生活しており、なぜ自らがそのような境遇にあるのかを考るにあたり、この世とあの世を貫く霊的人生観に持つことで、自身の「人生の目的と使命」を見つけることができます。

 その一生懸命に生き抜く姿は、自らの人生の問題集を解く(人生の目的)のみならず、周囲の人を勇気づけ、励まし、与える愛の人生を生きる幸福に目覚めるきっかけを与える(人生の使命)ことにもなります。

 今回のように指導する立場にある公官庁による水増しがあったとすれば厳に戒めなければなりませんが、障害者の実情を理解せずに、この問題を政治的な駆け引きの道具に利用するのであれば、与野党ともにその姿勢が問われるのではないでしょうか。

※:8月19日付朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASL8L5G14L8LUTFK00J.html?iref=comtop_list_pol_n03