トランプ政権は、米国政府機関で中国の大手通信機器メーカーの製品を使用することを禁止しました(※)。
対象となるメーカーはZTEや華為技術と見られ、これらの企業は予てから中国人民解放軍との繋がりが指摘されていました。
これに対し、マスコミの多くは、今回の使用禁止措置を、情報漏えいの防止など安全保障上の理由というよりは、トランプ政権が中国との貿易戦争の一環として中国に圧力を掛けることに目的があると見ているようです。
確かに、トランプ政権は、中国企業に打撃を与えることで、中国の貿易黒字を減少させ、覇権拡大の原資を断つ戦略を持っていることは間違いありません。
ただ、以前から華為技術など中国製の一部通信機器は、不審なパケットの送受が行われているとの指摘があり、情報の抜き取りや、サイバー攻撃に利用されるのではないかとの危惧があることも事実です。
ですから、ハード的にもソフト的にも完全にクリアになっていない中国製の通信機器を利用することは安全保障上のリスクがあるということもまた事実なのです。
米国政府が、こうした使用禁止措置を始めるにもかかわらず、我が国は無防備に中国製の通信機器を利用することに危機感を覚えます。
ZTEや華為技術の通信機器は、5Gなどの次世代の通信技術の分野では世界トップクラスの技術力があります。
何の制限なく入札を行えば、日本政府のネットワーク構築にそうした機器が利用される可能性が高いだけでなく、既に使用されている可能性もあります。
日本政府も、危機感を持って中国製の通信機器の使用制限に取り組むべきですし、トランプ政権による中国の覇権拡大の原資を断つ戦略に協力すべきではないでしょうか。
※:8月14日付NHKニュースhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20180814/k10011576101000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_039