防衛省は、新規の自衛官の採用上限を現在の26歳から32歳に大幅に引き上げる方針を決めました。
これは、近年、自衛官のなり手が不足し、昨年に採用された自衛官候補生が計画の8割に留まっていることを受けての措置です。
自衛隊では、装備の省力化が進んでいるとはいえ、戦力として主体となる現場の自衛官の数は、防衛力を左右する大きな問題です。
ですから、こうした採用上限の引き上げは概ね理解できるものです。
ただ、自衛官のなり手不足に関しては、他にも様々な原因があります。
その一つに若年定年制があります。
若年定年制とは、一般の公務員より若い年齢で退職する制度のことであり、任期制を別とすれば、自衛官の大半が53歳から56歳の間に退職します。
自衛隊を軍隊と考えた場合、軍隊という精強性を維持する必要性から仕方ない措置ではありますが、世間で定年が引き上げられている中では、50歳代というとまだまだ現役世代というイメージがあります。
こうした実状の中で、政府も、自衛官の退職後の支援を様々な形で行っていますが、民間での再雇用という点では、なかなか思うようにいかないのが実情です。
ですから、民間においても国防に身を賭してきた人材への理解を深めてもらうことももちろん必要ですが、少子高齢化の流れの中では、自衛官が一定の年齢を越えても精強性を維持できるシステムを開発し導入する必要もあるかもしれません。
日本を取り巻く情勢は予断を許しませんから、自衛官を如何に確保するかということは、日本と世界の平和にとっての喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。