今年も広島と長崎の原爆の日がやってきました。
73年前に広島と長崎で起こった凄惨な出来事を思うと、二度と原爆を使用させてはならないという決意を強くします。
一方、世界に目を向けると、核兵器の脅威は減るどころか増しているとされます。
特に米国のトランプ大統領は、核戦略の見直しを発表し核戦力の強化を打ち出したため、核廃絶に向けた最大の障害として真っ先に批判されることがしばしばです。
ただ、トランプ大統領がなぜ核戦力の強化を打ち出したのか、その理由を伝えるマスコミは少ないのではないでしょうか。
ですから、トランプ大統領が支持層の受けを狙って、自国第一主義のもと我がままでやっているかのような印象を与えます。
しかし、実際は、中露の核戦力の向上と、米国の核戦力の老朽化が、大きな理由とされます。
特に中国は、新型の大陸間弾道ミサイルや戦略核原子力潜水艦を次々に就役させていますし、迎撃が困難とされる開発中の極超音速飛翔体に核弾頭を搭載するとも見られています。
これに対して米国は、オバマ前大統領が「核無き世界」を標榜し核戦力の強化を怠ったために、有効な核抑止力を維持できているのか疑問を持たれてきました。
しかも、中国は核保有5大国の中で、唯一核弾頭の数を増やしているとされます。
にもかかわらず、米露に比べれば中国の核弾頭数は圧倒的に少ないとして、中国の核弾頭増加があまり問題視されませんが、それは核抑止力の正当性を認めているようなものです。
ですから、将来的な核廃絶の方向性は誰もが認めるところだと思いますが、実際の核廃絶に向けては、現実的な核抑止力のバランスの観点から考えなければなりません。
大切なことは、核兵器を使用させないことです。
それは、核で脅されたら、言いなりになってでも、核だけは使用させないという意味ではないのです。
核の使用を思い止まらせるために何が必要かという観点では、「抑止力」としての核装備の検討も選択肢の一つになってきたのではないでしょうか。