福島第一原発の事故から7年が経過しましたが、事故の影響は現在も続いています。
こうした中、小泉元首相らは、「日本は事故直後の厳しい状況を原発無しで乗り切れた」として、「今後も十分原発無しでやっていける」という旨の主張をしています。
しかし、事故直後の厳しい節電のことを思い出して頂きたいと思います。
まず計画停電や、工場の操業時間の短縮、エアコンの設定温度の上げ下げへの細かい配慮がありました。
更には休止した古い火力発電設備の再稼動など、電力不足が国民生活に影響しました。
例えば、真夏にも関わらずエアコンを節電した方々が、脱水症状で救急車で搬送されるケースも相次ぎました。
この様な事態を鑑みるに、更なる不測の事態が起こった場合には対応できないほど電力に余裕が無く、多くの国民の犠牲と協力があって何とか乗り切ったというのが実情でした。
過酷な避難生活を余儀なくされている方々の心中を察すると、脱原発を主張する気持ちも理解できない訳ではありませんが、エネルギー自給率が1割に満たない日本が原発を手放すことは逆に大きなリスクを背負うことになります。
それでは、原発事故が起こる確率はゼロでないというならば、日本に化石燃料が入ってこなくなるという確率もゼロではありませんし、火山噴火などで太陽光発電が思うようにできなくなるような大規模災害が起きる確率もゼロではありません。
ですから、実際、日本には安定電源としての原発が不可欠です。
ならば、日本は、福島第一原発の事故を教訓として、脱原発を図るのではなく、むしろ世界一安全な原発を作って世界に貢献すべきではないでしょうか。
それが、原発事故を経験した日本の責任であるようにも思います。
加えて、脱原発の考え方が浸透すると、原子力技術の優秀な担い手がいなくなり、次世代の原発技術者の育成が困難となります。
そうなると廃炉技術でさえ、原子力開発を進める中国などに頼らざるを得ない状況にもなりかねません。
その様な事態にならないように、日本は原発を維持するべきであると考えます。