トルコ軍とシリア軍が衝突する懸念が高まっています。
トルコ軍は敵対するクルド人勢力を攻撃する為、シリア領内で軍事作戦を展開したのに対し、シリア政府は主権の侵害であるとして、トルコ軍との衝突も辞さない構えを見せています。
中東では、各地で過激派勢力との戦闘が続いており、各国の思惑が入り乱れ代理戦争的な側面もありますが、もしも正規軍同士の本格的な戦闘が開始されれば、中東情勢は一層混乱することになります。
これに対し、シリアとトルコの両国に関係の深いロシアが衝突回避に向けて関与する姿勢を示しています。
ロシアはシリア政府の後ろ盾ですが、トルコに対しても難しい問題を解決してきた経緯があります。
2016年にシリアでの軍事作戦に参加していたロシアの戦闘爆撃機が、越境したとしてトルコ軍の戦闘機によって撃墜される事件がありました。
当初、ロシア、トルコ共に沽券(こけん)に関わる問題として相譲りませんでしたが、ロシアのプーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領に謝罪させる形で幕引きを図りました。
米国のトルコやシリアに対する影響力は限定的と思われますので、ここでもロシアのプーチン大統領の存在感が際立つ形になっています。
一方、日本はというと、この問題で全くと言っていいほど影響力を行使できていません。
シリア問題では米国寄りの立場ですし、クルド人問題についても友好国であるトルコの立場を支持しています。
今後、日本が国連の常任理事国など世界のリーダーとして立ったときに備えて、何ができるのか考える必要があるのではないでしょうか。