男女格差解消で賃下げに同意したというニュースがありました(※)。
これは、英国の男性キャスターや男性記者など6人が、賃金の男女格差解消を求める同じ立場の女性らの訴えに賛同し、自主的に賃下げを受け入れたというものです。
今回の件は、男女格差解消のために雇用主側が賃下げを行った訳ではありませんが、男女格差解消に留まらず、同一労働同一賃金の流れの中で、重要な示唆を与えるものではないでしょうか。
性差だけでなく、正規・非正規の賃金の違いなど、その差に“合理的な理由”が無ければ是正しなければなりません。
一方、拙速に賃金格差の是正を求めれば、最高賃金と最低賃金の相加平均に収まるだけでなく、場合によっては最低賃金に揃える理由にされてしまうかもしれません。
また、賃下げに同意できない場合は、賃金原資に余裕の無い中小企業などは、一部の雇用を維持できなくなります。
つまりそれは、賃上げを要求しながら失業率の悪化に繋がってしまいます。
ですから、必要なのは、政府が民間の賃金をコントロールすることではなく、景気回復により企業業績が向上し、それが従業員の賃金に反映することではないでしょうか。
本来、格差解消という言葉には、持たざる者への思いやりの心があることは事実でしょう。
しかし、その動機において、持てる者から奪って待たざる者へ再配分するという考え方があるならば、それはマルクス主義に通じるものです。
マルクス主義の行き着く先は「貧しさの平等」であるということを忘れてはなりません。
※:1月27日付共同通信ニュースhttps://this.kiji.is/329729808916186209?c=39546741839462401