前回、百発百中の弾道ミサイル迎撃システムの必要性について述べましが、そのシステムの最右翼がレーザー兵器と目されています。
マイクロ波などを利用した兵器開発は、第二次世界大戦中から日本を含む各国で行われていますが、未だに満足のいく性能のレーザー兵器は誕生していません。
近年では、米軍が数km先の小型の目標物を無力化できる艦載のレーザー兵器を実戦配備しましたが、ミサイルの迎撃に使用できるほどの性能ではないようです。
レーザー兵器の実用化の最大の壁は、大気の存在です。学校やオフィスなどで使用するレーザーポインターの光は遠くまで届くイメージがありますが、兵器級の高出力レーザーは、大気の存在により急激に減衰してしまいます。
そのため、電源など大出力のエネルギーの確保の課題や、レーザーの減衰を引き起こす様々な物理現象を克服する必要があります。
レーザー兵器の利点は、目標を捕捉できさえすれば、瞬時に照射することが可能であることです。
これまでの主流である「弾道ミサイルに迎撃ミサイルを発射した場合」には、様々な要因で迎撃に失敗してしまう場合があります。
その場合、第2撃を発射するには一定の時間を要するため、第1撃の失敗はそのまま弾道ミサイルの着弾を許してしまうことに繋がりかねません。
ですから、弾道ミサイルの迎撃用レーザー兵器を実用化できれば、弾道ミサイルに依存した核抑止力のゲームチェンジャーたり得るのです。
日本では、マイナス金利という言葉が飛び出すほどの超低金利の中にあっても、なかなか有用なお金の使い道が見つかりません。
であるならば、今こそレーザー兵器の研究開発に、数十兆円あるいはそれ以上の規模で資金を投入する価値はあるのではないでしょうか。
場合によっては、防衛国債を発行して開発に充てることも検討すべきと考えます。