もしも米朝の軍事衝突が現実化した場合、中国は混乱に乗じて日本の尖閣諸島の奪取を試みるのではないかとの懸念の声が聞かれます。
確かに、米朝が衝突すれば、米軍の兵力の多くは朝鮮半島方面に割かれますし、自衛隊や海上保安庁も、防衛や治安維持の任務だけではなく、邦人保護や難民対策などに追われ、尖閣諸島に現在ほど手厚い人員を配置できなくなる可能性があります。
従って、朝鮮半島有事の際も、尖閣諸島をはじめとした離島の警戒を怠ってはなりません。
また、北朝鮮は、米国が軍事行動を起こせば、在日米軍基地に向けて弾道ミサイルを撃ち込むと脅していますが、中国にしてみれば、沖縄の米軍基地に向けて撃ち込んでくれれば漁夫の利を得られると考えているかもしれません。
なぜならば、北朝鮮が在沖米軍基地に向けて弾道ミサイルを発射して、仮に基地内に着弾しなくても、周辺に着弾して民間に被害が出れば、「米軍基地があるから攻撃された」とする沖縄の民意が高まり、労せずして沖縄から米軍を撤退させられる可能性があるからです。
ですから、中国は如何に北朝鮮に沖縄を攻撃させるか算段しているかもしれません。
北朝鮮が在日米軍基地を攻撃すれば、激しい反撃により金正恩体制は崩壊することになるはずですが、中国にしてみれば、北朝鮮に親米政権ができなければそれでよく、金正男氏の暗殺事件の際にも取り沙汰されましたが、中国は北朝鮮に傀儡政権を立てる機会をうかがっているのではないでしょうか。
米朝の軍事衝突を回避するために中国の働きに期待する向きもありますが、あらゆる機会を利用して自身の利益の最大化を図る中国には、多くを期待しない方がいいと考えます。