トランプ政権は、化学兵器の使用に対するシリアのアサド政権への報復的な攻撃を実施しました。
前のオバマ政権は、化学兵器の使用は一線を越えているとしながら実際には攻撃に踏み切らず、シリア内戦の長期化の一因になったのと比べると、有言実行のトランプ政権の対応は対照的です。
今後は、アサド政権の後ろ盾であるロシアと米国の関係構築が、中東情勢を左右する鍵と言えます。
一方、今回の攻撃では、もう一つ注目すべき点があります。
それは、米中首脳会談の最中に行われたということです。
本来であれば、米中首脳会談の話題は世界的にトップニュースとなるはずであり、中国としてもそれを望んでいたはずですが、世界の注目は完全にシリア情勢に移りました。
米国としては米中首脳会談の重要議題の一つに北朝鮮問題を上げており、中国に対して実効ある制裁の発動を求めるものと思われますが、中国は従来通り対話による解決を呼びかけるものと思われています。
もともと北朝鮮としては、体制保障の確約を得るために米国との直接交渉に持ち込むための核開発でありミサイル開発でしたから、中国と北朝鮮は実は同じ考え方と言えます。
今回、トランプ政権はアサド政権への攻撃で、「やる時はやる」というメッセージを示したことになり、中国としては、オバマ政権の時のように平和的な対話を促しつつ、のらりくらりと北朝鮮を延命させる戦略がとり辛くなったのではないでしょうか。
その意味でトランプ政権は、怒りにまかせて攻撃に踏み切ったのではなく、タイミングも見計らって国際的にも最大の効果を得られるよう、したたかな計算のもと攻撃に踏み切ったと言えそうです。