後半国会の焦点の一つは、テロ等準備罪に関する法案の審議です。
確かに、この種の法律は、独裁国家ではない民主主義国家であっても世界各国で設けられており、安倍政権は説明不足ではあるものの一定の必要性は認められます。
しかし、政府案では対象犯罪が絞られているとは言え、まだまだその幅が広く、捜査機関側の恣意的に運用しようと思えばいくらでもできる内容になっています。
捜査に対する透明性が高く、恣意的な運用ができない仕組みになっているのであればいいのですが、今回の法案は刑法の根幹を崩すとの指摘もあります(※)。
実際、昨年の参院選では、幸福実現党の候補者の応援に関する件で、異例なことに党本部が家宅捜査されました。
一方、同選挙で、運動員に30万円を支払ったとされ同じ公職選挙法違反の疑いで自民党候補者の後援会事務局長が逮捕された事件では、自民党本部が捜査対象になることはありませんでした。
結局、家宅捜査した真意は明らかにされませんでした。
このように、公職選挙法においても、捜査機関の裁量次第でいくらでも恣意的に運用できるようになっており、テロ等準備罪においても同様の懸念があります。
こうした姿勢が垣間見られる政権のもとで、テロ等準備罪が創設されることには、より慎重であるべきではないでしょうか。
※:3月29日付The Liberty Web「拡大解釈で高まるリスク 共謀罪の何が危険なのか – ニュースのミカタ 3」http://the-liberty.com/article.php?item_id=12752