豊洲への移転問題で石原元知事を証人として招いての東京都の百条委員会が開催されました。
質疑の内容は、概ね前回の石原氏による記者会見と同様であり、問題の解決には程遠いように感じられました。
このニュースの中でNHKは、石原氏の答弁に対し傍聴席から「それは原発が安全といっているのと同じだ」などと声が上がったことを伝えていました(※)。
客観的にはヤジとも言えるこうした声をNHKがわざわざニュースの中で伝えるということは、NHKの内部のみならず、国民の中にもそうした声に同調する気持ちがあるということを、暗に示したかったからではないでしょうか。
傍聴席からヤジを飛ばした人は、「原発も豊洲市場も、『安全だ』、『安全だ』と言っておきながら実は安全じゃない」という意味で「同じ」と言ったのかもしれません。
しかし、原発と豊洲市場が同じだとすると、それは、「科学的なデータを基にしていくら安全性を示しても、国民や都民の間に不安なイメージがあれば、安全とは言えない」ということではないでしょうか。
豊洲市場の最新の地下水質検査では、環境基準の100倍を超える有害物質のベンゼンが検出された箇所があり問題となっていますが、東京都の専門家会議が指摘しているように、環境基準はあくまでもその水を飲用等に利用する際の基準であり、地下水を利用することのない豊洲市場では、本来、問題とすべきことではありません。
食品を扱う立場の市場関係者の気持ちも理解できますが、小池知事側も、「地下水を利用することは無いので豊洲市場の安全性は確保されている」ということを理解してもらう努力をすべきではないでしょうか。
小池氏は、夏の都議会選を控えて自身の政治勢力の躍進を図るために、世論に迎合しているのであれば、ここにも都政の劣化が感じられます。
※:3月20日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170320/k10010918091000.html?utm_int=news_contents_news-main_004&nnw_opt=news-main_a