トランプ大統領は、就任1週間余りで、TPPからの撤退、一部のイスラム教徒の入国凍結、メキシコ国境での壁の建設など、矢継ぎ早に大統領令に証明し、選挙中の公約と言える政策を実行に移しています。
前のオバマ政権からのあまりに大きな政策の転換に、関係国は振り回されているように見え、次はどの大統領令にサインするのかとヤキモキさせています。
特に、地球温暖化対策として世界各国がようやく成立にこぎつけたパリ協定から米国が離脱するか否かにも注目が集まっています。
トランプ氏は選挙期間中に、「地球温暖化はでっち上げ」、「パリ協定は米国の競争力に不利」との発言をしており、離脱は時間の問題かもしれません。
こうしたトランプ氏の言動に、「科学を否定し、自国の経済しか考えていない」などと批判する声もあります。
しかし、「現在の温暖化傾向は人類の活動で生じた温室効果ガスによるものではない」とか、「中長期的にはむしろ寒冷化傾向にある」と指摘する科学者がいることも事実です。
また、「世界最大の二酸化炭素排出国である中国がようやくパリ協定に参加する決断をしたのだから、何としてでも現在の協定の枠組みを維持したい」という声もありますが、中国は地球規模の環境を考えているというよりは、自国の環境問題の深刻さへの対応を考えているのであり、それも外国から資金で賄おうとの思惑から参加したに過ぎないのではないでしょうか。
そう考えれば、トランプ氏の発言は戦略的に正しいと言えます。
トランプ氏は、単なる「我がまま爺さん」などではなく、物議を醸しだす発言の裏に非常にクレバーな判断があるのではないでしょうか。