政府は、米軍艦載機の離着陸訓練の移転先として、鹿児島県の無人島である馬毛島を購入することを決めた模様です(※)。
米軍の原子力空母は巨大な艦ですが、そこに着艦するパイロットにとっては、大海原に浮かぶ点のような存在です。
一般的な航空機の着陸に比べて急角度で侵入する空母への着艦は、「コントロールされた墜落」と言われることがあるほど、難しいとされます。
ですから、艦載機のパイロットの技量を維持するためには、離着陸訓練が欠かせないのですが、現在は騒音などの問題から、遠く離れた小笠原諸島の硫黄島を主に利用しています。
馬毛島は、有人島である種子島に近いものの硫黄島と同様に無人島であり、騒音などの問題が生じにくいとされ、地主との交渉も進んでいる模様です。
硫黄島よりも本土に近い馬毛島での訓練が実現すれば、訓練の効率が上がることが期待されています。
ただ、馬毛島は、以前、普天間基地の移設先として、何度か浮上したことがあります。
遅々として進まない普天間基地の辺野古地区への移設ですが、馬毛島への米軍訓練場の移転が、普天間基地の新たな移設先としての地ならしであるとすれば注意が必要です。
海兵隊兵力との一体運用が前提の普天間基地ですが、兵力の輸送手段である航空部隊のみが離れた場所にあっては、海兵隊本来の能力が発揮できません。
海兵隊は侵攻するための兵力と捉える向きもありますが、兵力を必要な場所に迅速に展開できるという点で、防衛上も重要な兵力です。
沖縄から海兵隊が無くなるということは、それがそのまま抑止力の低下を意味します。
やはり、普天間基地の辺野古地区への移設を確実に進めるべきではないでしょうか。
※:11月18日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20161118/k10010774471000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001