国連で、核兵器禁止条約の制定を目指す決議について、日本は反対に回ったものの、賛成多数で採択されました。
今回、日本政府が反対に回った理由は、「核軍縮は国際社会の総意で行われるべきだと強く求めたが、受け入れられなかった」からとしています(※)。
中国や北朝鮮が核戦力を増強する中で、米国の核の傘に依存している日本としては、米国とともに反対に回ることは当然かもしれません。
もしも、日本が賛成に回ったとすれば、米国の核の傘に依存する日本の安全保障体制に矛盾すると同時に、将来の日本の核装備に足かせとなってしまいます。
中国や北朝鮮が核兵器を放棄することは考えづらい状況ですが、一方の米国は大統領選の両候補者の言動からも分かるように、どんどん内向きになっていこうとしています。
将来、米国の退潮が顕著となり、核の傘が無くなったとすればどうでしょうか。
その時、万一、中国や北朝鮮と武力衝突が勃発したならば、それらの国が日本に対して核兵器を使用しないという保証はどこにもありません。
戦争は国と国との総力戦です。
それらの国が劣勢に立たされた中、核兵器で起死回生が可能と判断すれば、「核兵器の先制不使用」の言葉などは、有って無きのごとしではないでしょうか。
ですから、70年前の広島と長崎の悲劇を繰り返さないためにも、日本は最低限の抑止力として、自前で核装備を可能とする道を閉ざすことは大きな危険を招くものです。
そのためにも、現在の日本が置かれた状況で、核兵器禁止条約の制定を目指す決議に賛成してはならないと考えます。
※:10月28日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20161028/k10010747701000.html?utm_int=news_contents_news-main_003