訪中しているフィリピンのドゥテルテ大統領は、米国とは経済的にも軍事的にも決別すると述べました。
これはドゥテルテ氏らしい“過激”な発言の一つなのかもしれませんが、今回の訪中で大規模な経済支援を取り付けたドゥテルテ氏は、中国との関係を重視する姿勢を明確にしたと言えます。
先の南シナ海の問題に対する国際仲裁裁判所の判決では、中国が全面的に敗訴した形となり、中国にとって大きな外交的敗北と言われましたが、今回、中国がフィリピンの懐柔に成功したとなれば、一気に挽回することになるかもしれません。
これは、別の見方をすれば、米国の外交的敗北とも言えます。
米国は、ドゥテルテ氏が進める強権的な麻薬対策を、人権に反するとして批判してドゥテルテ氏の反感をかいました。
ドゥテルテ氏にしてみれば、国内の貧困や麻薬問題こそが、まさに国民の人権を害していると考えているのでしょうから、米国はドゥテルテ氏の性格を把握してそれなりの対応をすべきだったのではないでしょうか。
今後、フィリピンが本当に米国と決別し、中国と軍事的な結び付きを強めるようなことになれば、南シナ海はまさに中国が支配する海となってしまいます。
これは、日本にとって、中東などからの石油輸入の大動脈を中国に抑えられることに繋がります。
ドゥテルテ氏は訪中の後に日本を公式訪問することになっています。
幸いにしてドゥテルテ氏は親日であると伝えられていますから、ドゥテルテ氏が反米親中路線を突き進まないように、日本が果たすべき役割は大きいと言えます。