いわゆる「混合介護」の弾力的な運用の必要性についての報道がありました(※)。
混合介護とは、介護保険によるサービスと介護保険の適用外のサービスを組み合わることです。
具体的な例としては、介護保険には訪問した訪問ヘルパーが利用者に食事を作るサービスがありますが、このサービスの適用外の他の家族の分の食事を作ることはできないことになっています。
例えば、高齢の夫が認知症の妻を介護している場合で、夫が食事を作ることが負担となりこのサービスを利用したとしても、訪問ヘルパーは夫の分を作ることはできないのです。
ですから、同じ訪問ヘルパーが夫の分の食事を作るサービスを認めれば、利用者の利便性が向上するとともに、サービス提供事業者の収益性も改善すると考えられています。
確かに、規制を緩和して、利用者が自由にサービスを選べるようにすることは必要なことであり、この方向で制度設計がなされるならば混合介護も推進すべきと考えます。
しかし、混合介護の解禁が、国による許認可の範囲拡大をもたらし、社会保障費の更なる肥大化を招くようならば問題です。
民間の力を引き出し、国による関与は極力小さくしていくことこそ、目指すべき方向です。
そのためには、家族の支え合いの価値を見直したり、地域社会や宗教的なネットワークを活用したりすることも考えていくべきではないでしょうか。
※:9月6日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS05H5V_V00C16A9EE8000/