企業の内部留保に対する課税が議論されていることに対し、日本商工会議所の三村明夫会頭は、経済原則に反するなどとして反対の立場を示しました(※)。
企業の内部留保は、従業員の給与や設備投資、または配当に使われるべきであるとして、しばしばやり玉にあがることがあります。
以前は、共産党が大企業の内部留保を問題視してきましたが、今では市場経済を旨とする自民党までもが、経済活性化の秘策として内部留保への課税に言及するようになっています。
持っているだけで課税されるのであれば、企業も内部留保を切り崩すので、市場に資金が流れて経済が活性化するとの思惑です。
しかし、企業は闇雲に内部保留をしているのではありません。
経済の先行きが不透明であるからこそ、経営者ならどのような事態にも対応できるよう手元に資金を置いておきたいからです。
税率10%への消費増税は延期されましたが、撤回されたわけではありません。
ですから、近い将来、明らかに経済にマイナスの影響を与える消費税が実施されるということは既定路線です。
更に、政府は、消費増税分を社会保障に充てるとしていますが、現在の社会保障制度を維持したまま消費税で賄うことになれば、税率は更に上がることになります。
これでは、経営者はなかなか内部留保の削減には踏み切れません。
そもそも企業の内部留保は、経営の継続、企業の存続に関わる事案ですので、資本主義経済においては、政府がとやかく言うべきことではないはずです。
やはり政府は将来の明るい見通しを示さなければなりません。
まずは、消費増税の撤回から始めるべきと考えます。
※:9月1日付産経新聞http://www.sankei.com/economy/news/160901/ecn1609010018-n1.html