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2016/05/14【EVかFCVか】

 イーロン・マスク氏の率いる米国のテスラ・モーターズ社が発表した新型電気自動車(EV:モデル3)の予約数が32万台を超えて話題となっています(※)。
 

 従来の電気自動車は、販売価格が5百万円以下のモデルでは、ガソリンエンジンなどの内燃機関を搭載した自動車よりも一回の充電当たりの走行可能距離が200km程度と短いこともあって、販売数が伸び悩んでいました。
しかし、モデル3は、日本円で5百万円の販売価格でありながら最大345kmの走行が可能であるとされ、爆発的な予約数に繋がったようです。
日本でも、走行距離の長さと、現実的な値段設定により、予約数が伸びているとのことです。

 ただ、実際の走行可能距離は条件によって大きく異なるようなので注意が必要です。
例えば、氷点下の吹雪の夜に、暖房をつけて、ヘッドライトを点灯させ、ワイパーも作動させ、更に乗車人数が多いような状況では、走行可能距離が半分程度まで低下することもあると聞きます。
一般的なガソリン車では、こうした状況でもほとんど走行可能距離が変わりません。

 また、電気自動車は、走行可能距離が伸びたとしても、バッテリーそのものを交換する手法を取らない限り、充電時間が長いというデメリットもあります。
ですから、電気自動車の購入にあたっては、まだまだ自身の使い方を十分吟味する必要がありそうです。

 一方で、従来のガソリン車に代わるものとして、トヨタやホンダなどが開発を進める燃料電池車(FCV)にも期待が集まっています。
しかし、この燃料電池車の普及には、車体価格の低減と、大規模なインフラの整備が課題となっています。
電気自動車のバッテリーの進歩も著しいものがあるので、燃料電池車の普及が遅れれば電気自動車に席巻されることも考えられます。

 燃料電池車は、世界に先駆けて日本のメーカーが先行しているので、その強みを生かして日本の次世代産業の一つに育てるためにも、政府と産業界が一体になってインフラの整備などを推進することが重要と考えます。

※:5月11日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_0511.html?utm_int=tokushu-new_contents_list-items_007