退任を間近に控えた台湾の馬英九総統は、日本の海上保安庁による台湾の違法操業漁船の拿捕を契機に、日本の沖ノ鳥島は「島」ではなく「岩」であると主張し始めました(※)。
島か岩かの定義は国により解釈が異なりますが、国連海洋法条約では、岩に排他的経済水域(EEZ)を設定することはできません。
今回、拿捕された台湾漁船は、日本のEEZ内で操業していたとのことですが、従来は、沖ノ鳥島が島か岩か判断しない立場を取っていた台湾が、突然、中韓と同じように岩とする立場を明確にしてきと言えます。
穿った見方をすれば、馬総統が退任前に、中国の意向に沿ったとも考えられますし、次期蔡英文政権に揺さぶりを掛けたとも考えられます。
今後、新たに発足する蔡政権がどのような立場を取るか注目されます。
その中国は、国連海洋法条約をたてにして沖ノ鳥島は岩であると主張していますが、一方で、南シナ海では国連海洋法条約を無視して、事実上、人工島を起点に領海・領空を主張しています。
中国は、南シナ海の問題は、当事国同士2国間で解決すべきだとしていますが、仮に領有権問題を解決できたとしても、浅瀬や満潮時に水没する岩礁を埋め立てても領土と認められないということに変わりはありません。
国際法を無視して人工島を領土と主張することを、領土問題とすり替えられてはなりません。
国際法を自らに都合のいいように使い分ける中国に、国連常任理事国としての矜持が感じられません。
人工島を要塞化して既成事実を積み重ねる中国に対して、国際社会は毅然とした態度で臨む必要があります。
※:4月28日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160428/k10010502191000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_009