朝日新聞がなぜか報道しないことで話題となっている西沙諸島への中国軍の戦闘機部隊展開についてですが、世界各国は中国による周辺の軍事化に懸念を強めています。
27日にはASEANの外相会議でも、議長声明で、事実上、中国による軍事拠点化を批判しています(※1)。
では、世界は具体的に何を懸念しているかというと、中国が南シナ海に防空識別圏を設定することがその一つです。
南シナ海で領有権を争う周辺国の中で、中国の軍事力は抜きん出ており、防空識別圏を設定して中国が周辺空域をコントロールするようなことになれば、中国の実効支配はより強まることになります。
しかも、今回、展開が確認されている戦闘機は、「J-11」と「JH-7」と言われています(※2)。
共に様々な任務をこなすことができる「マルチロールファイター」と呼ばれる機体ですが、JH-7は、対戦闘機戦闘よりも対地・対艦攻撃に主眼を置いた戦闘攻撃機と言われる機体です。
つまり、中国は防空識別圏の設定を意識するとともに、戦闘攻撃機を展開させることで、「近づく艦船に対して、いつでも攻撃できるぞ」という意思表示をしているのです。
翻って、日本の尖閣諸島周辺の東シナ海の状況をみると、管轄する航空自衛隊那覇基地の戦闘機部隊が増設されたものの、所属するF-15戦闘機は対艦攻撃能力が限定的で基本的に対空戦闘しか行いません。
同じ那覇基地に所属する海上自衛隊のP-3哨戒機は対艦攻撃能力が付与されているものの、あくまでもプロペラ旅客機をベースとした哨
戒機です。
ですから、中国軍艦艇の動きが活発化する沖縄周辺での防衛力を高めるために、沖縄へのF-2戦闘機の展開など、対艦攻撃能力の高い機体を配備することも必要ではないでしょうか。
※1:2月27日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20160227-OYT1T50121.html?from=ycont_top_txt
※2:2月24日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160224/k10010420281000.html