川内原発や高浜原発に続いて、全国の原発で再稼動に向けた準備が行われていますが、原子炉など重要施設の直下の活断層の有無が、再稼動の可否を左右する場合があります。
渦中の東京電力管内でも再稼働に向けた動きが進んでいますが、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発でも防潮堤の下などにある断層が活断層か否かで議論になっていました。
このほど、原子力規制委員会は、議論になっていた断層について「活動性はない」とする評価を了承しました(※)。
これにより、東京電力管内の、しかも福島第一原発と同じタイプの原発の再稼動に向けて一歩先進した形になりました。
しかし、原子力規制委員会の審査を通過したとしても、柏崎刈羽原発の再稼動のハードルは高いと言わざるを得ません。
原発が立地する柏崎市や刈羽村からは、再稼動を望む声も聞かれますが、何よりも新潟県知事が再稼動に同意していません。新潟県の泉田知事と東京電力の確執は有名で、泉田氏は、「福島第一原発の事故原因が最終的に究明されていない以上、原発の再稼動を判断する状況に無い」としており、この論法からすれば、メルトダウンした原子炉の内部の状況が明らかにならない限り原発の再稼動は無いということになります。
また、新潟県内で大きなシェアを占めている唯一の全県紙が反原発・脱原発のキャンペーンを展開していることもあってか、県民の再稼動への理解も必ずしも高くないと聞きます。
しかし、エネルギー自給率が5%に満たない日本にとって、安定電源である原発は死活的に重要です。
原発の再稼動は、経済的な側面のみから議論されがちですが、安全保障から見ても必要なことは明らかです。
福島第一原発の事故を考えれば、感情的に東京電力に原発の運転を任せたくないという気持ちも分からなくはありませんが、安全が確認された原発は、例え東京電力の設備であっても速やかに順次再稼働させるべきと考えます。
※:2月13日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/science/20160212-OYT1T50153.html?from=ytop_ylist