英国に亡命していたロシアの元治安機関の職員が10年前に毒殺された事件は、ロシアの治安機関によって行われた暗殺だったとする報告書が発表されました(※)。
報告書では、この暗殺をプーチン大統領が承認していた可能性が高いとしており、プーチン大統領に対する批判の声が上がっています。
確かに、外国に亡命した人物を、亡命された国の治安機関が暗殺することは、当該国にとっては許すことができない行為でしょう。
しかし、中東などで欧米が行っている軍事作戦の中には、無人機による暗殺とも言える行為が数多く含まれており、これらの軍事作戦は、米大統領などの承認により行われています。
平時か有事かということがあるのかもしれませんが、これら米大統領の承認と、今回のプーチン大統領の承認は、どのような違いがあるのか、様々に議論の分かれるところです。
今回の事件は、外交の裏舞台では各国の治安機関による熾烈なスパイ合戦が行われていることを物語っています。
当然、中国や北朝鮮も、必要とあれば同様の行為に及ぶ可能性があります。
日本の治安機関は、優秀であるとされるものの、他国に比べて制約が多いと見られています。
そうした中で日本は、外交の裏舞台の現実に即した対応が迫られているのではないでしょうか。
※:1月21日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160121/k10010380811000.html