政府は、来年度の一般会計予算案を過去最大となる96兆7千億円程度とする方針を固めましたが、防衛費も微増し過去最大の5兆円程度と見られています。
防衛費の内訳は、戦闘機などいわゆる正面装備の購入や、辺野古移設に伴う工事費用などが増加の要因となっている一方で、そのしわ寄せにより陸上自衛隊の弾薬予算が近年では最低となる570億円程度にまで落ち込む見通しです(※)。
弾薬予算が少なくなるということは、演習などで使用する弾薬が少なくなるということです。
近年では、コンピュータ技術の発達でバーチャル空間での訓練の有効性も高まっていますが、実弾を使用した訓練に勝るものはありません。
自衛隊は、以前から、米軍などと比べると演習で実弾を使用する機会が少ないのですが、実弾の使用機会が少ない割には高い練度を維持していると言われています。
今後は、少ない弾薬予算の中で如何に練度を維持していくかが課題となるでしょう。
しかも、自衛隊が実弾を使用できる演習場は多いとは言えません。
騒音問題もありますし、そもそも演習場自体が狭く、特に陸上自衛隊の装備の多くは、最大射程での発射訓練を行えません。
ですから、必要に応じて米国など海外の広い演習場で発射訓練などを行っています。
今後、防衛産業を日本の基幹産業と育てていく上では、広大な射爆場などの確保も重要となるかもしれません。
※:12月21日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/20151221-OYT1T50076.html