安倍首相は、最低賃金を時給1,000円とする目標を示しました(※)。
最低賃金は都道府県毎に定められており、今年10月に発効した平成27年度の最低賃金の全国平均値は時給798円です。
安倍首相は、この798円を、毎年3%を目途に引き上げたいとしており、仮に目論み通りに達成できれば8年ほどで1,000円を超える計算です。
全国には、最低賃金で働いている人が多いということが現実であり、安倍首相の目標が達成できればありがたいと感じる人も多いと思います。
しかし、最低賃金の引き上げ方には、その前提となる雇用枠が狭まり、場合によっては、雇用そのものが無くなる可能性が高まるのことを考えると、注意が必要です。
日本の経済状況が好転し、雇用する側の業績の向上が伴って、あるいは向上する見込みがあって、被雇用者の賃金が上がっていけば問題ありませんが、国が主導して半ば強制的に賃金を上げさせるのであれば、雇用人数が縮小する可能性があります。
賃金に充てられる企業の原資は決まっている訳ですから、最低賃金が引き上げられた分、従業員の数を減らさなければならない企業が出てくるわけです。
つまり、給料が上がる人がいる一方で、失業する人が増える可能性があるのです。
ですから企業が従業員の給料を上げられるように経済を好転させることが先決です。
そのためには消費増税を行ってはなりません。国民の可処分取得が上がっていない中で消費増税を行えば、消費にブレーキが掛かることは、過去の増税の際も明らかです。
むしろ行うべきは、低減税率の導入という品目の問題ではなく、消費そのものを拡大するための障害となっている消費税を減税すること、少なくとも消費税率5%に戻すことであると考えます。
※:11月24日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151124-OYT1T50162.html?from=yartcl_popin