政府が進める安全保障法制は、集団的自衛権の行使が憲法違反にあたるなどとして、野党側の批判にさらされています。
一方で、日本年金機構から125万件以上もの個人情報が流出した事件では、野党側は「漏れた年金」などと、「消えた年金」の二の舞をほうふつさせる戦略で、政府の責任を追及しています。
これらは、一見、別々の問題のように見えますが、日本年金機構の個人情報の流出事件も、実は安全保障に関する要素を多分に含んでいる問題とも言えるのです。
6月21日付の日本経済新聞朝刊によると、今回の日本年金機構の事件で使われたウイルスには、中国語の簡体字の情報が含まれていたとのことです。
犯人は未だ特定できていませんが、中国は国を挙げてサイバー攻撃力を向上させており、今回の事件でも中国の関与が疑われているのです。
サイバー空間は、陸・海・空・宇宙に続く第5の戦闘空間とも言われますが、サイバー攻撃により、相手政府を政治的に混乱させることもできるということが分かります。
サイバー空間の防衛問題は、日本国憲法が制定された当時、全く予想もつかなかったことです。
憲法が硬直化している現状では、このことからも情勢の変化に合わせて柔軟に解釈を変えなければ、国防の危機に直面することもなりかねないことが分かります。