ニカラグアで、太平洋と大西洋を繋ぐ新たな運河の建設が始まりました(※)。
太平洋と大西洋を繋ぐ運河としては既にパナマ運河があり、通商上や軍事上、重要な役目を担っています。
今回、新たに中米のニカラグアで、中国企業が主導して世界最長の280km近くにも及ぶ運河の建設を行うとされています。
二本目の運河の完成で、通行料の低下など経済面での恩恵が考えられます。
しかし、一方で、米国の裏庭とも言えるこの地域での中国の影響力拡大の思惑が見て取れます。
ニカラグアのオルテガ大統領は、反米で知られており、さしたる産業の無いニカラグアと中国の思惑が一致したとも言えます。
この運河の建設に当たっては、莫大な建設費をそもそも調達できるのかといった疑念がありますし、地元では、海と内陸の湖を繋ぐ建設計画に対し十分な環境アセスメントを行っていないニカラグア政府と中国企業に対し不満が高まっています。
また、運河の運営を実質的に中国企業が握ることになれば、主権を中国に売り渡すことになるとする国民の反発もあります。
中国の海外での投資や援助活動は、人道上というよりも、何らかの政治的な意図を持って行われていると見て間違いありません。
ニカラグアの運河を中国海軍の艦艇が我が物顔で通過し大西洋に抜けるといった姿を想像したらどうでしょうか。
こうした中国の動きを、国際社会はしっかり監視していかなければならないのではないでしょうか。
※:12月25日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23H3W_U4A221C1FF1000/