このほど国産では初めてとなる小型ジェット旅客機「MRJ」の最初の飛行試験を行う機体が披露されました(※1)。
開発を行っている三菱航空機では、来春の初飛行、2017年の量産型機納入開始を予定しています。
戦後政策の一環として、当初、日本は航空機の開発を制限されてきました。
そうした中でも、企業が主体となって、自衛隊に納入する機体とは別に、民間用の航空機を製造してきました。
国産初の旅客機「YS-11」は有名ですが、その他にも三菱重工がプロペラ機であるビジネス機「MU-2」と、同じくジェット機である「MU-300」を、富士重工が軽飛行機「FA-200」を開発・製造してきました。
いずれも性能面では高い評価を受けた機体ですが、販売面では必ずしも成功とは言えませんでした。
先にノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大学の中村修二教授は、インタビューで「日本はすぐれた発明をして良い製品を送り出してきたが、市場は国内ばかりで世界に製品を売る力が弱く、世界標準に至らないのが問題だ」と述べていますが(※2)、航空機の分野でも同様と言えるのではないでしょうか。
国産の機体としてはMRJの他に現在、自衛隊向けの4発ジェット哨戒機「P-1」、同じく自衛隊向けの大型飛行艇「US-2」、同じく自衛隊向けの中型の双発ジェット輸送機「XC-2」などの製造や開発が行われており、いずれも民間への転用の声も聞かれますが、どれも予定される製造数が100機に満たない状況です。
MRJは現時点で比較的順調に受注を伸ばしていますし、ホンダジェットへの期待も高まっています。
これらの機体がYS-11の二の舞にならないよう国も積極的に支援するとともに、武器輸出三原則の緩和を機に、自衛隊向けに開発された機体の海外への売り込みを積極的に支援していく必要があるのではないでしょうか。
※1:10月18日付産経新聞http://www.sankei.com/economy/news/141018/ecn1410180013-n1.html
※2:同NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20141018/k10015499691000.html