オーストラリアは、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加に前向きな姿勢を示しています(※1)。
AIIBは、日米主導で主に途上国の経済発展の促進を目的に1966年に設立されたアジア開発銀行(ADB)に対抗するために、中国が設立を目指しているものです。
日本はAIIBへの参加に距離を置いており、AIIBについて麻生副総理兼財務相は、他の国際機関と同様に融資できるかや、借り手の国が過剰債務に陥った場合の対応など問題点を指摘しています(※2)。
別の言い方をすれば、AIIBに対する最大の懸念は、最大5割を出資する中国の政治的な意向が、融資に色濃く反映するのではないかということです。
AIIBが設立されれば、中国は、自身の出資額の最大二倍の資金を、中国の意向で融資することも可能となるのです。
既に中国は、アフリカなどの途上国を支援する際、必ず何らかの見返りを求めていますし、先進国が敬遠する独裁国家への支援も行っています。
こうしたころからも、AIIBに出資するのであれば、ADBに増資すべきではないでしょうか。
各国には、存在感を増した中国経済を取り込む思惑がありますが、中国に過度に依存することは、自国の自由を失う可能性があるということを理解すべきです。
※1:10月21日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM2001F_Q4A021C1FF8000/
※2:10月20日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141020-OYT1T50119.html