内閣改造が済んで、政治上の次の焦点の一つは今年末に判断すると言われている消費税の10%への増税の可否です。
今回の改造人事では、自民党が野党時代に民主党との間で消費税10%への増税合意をまとめ上げ、消費増税実施の急先鋒の一人である谷垣禎一氏を、幹事長という人事で体よく閣外に追いやったともとれます。
その一方で、安倍首相は増税可否の判断時に幹事長である谷垣氏に一定の配慮をしなければならないことは間違いありません。
その他の経済閣僚はほぼ留任したので、消費増税への流れが固まりつつあることを危惧せざるを得ません。
また、首相の増税可否の判断に大きな影響を与えるGDPの値も、財務省による操作の影響がないか注意が必要です。
例えば、企業や個人の消費支出が低迷しても、それよりも政府支出が高まれば、GDPの値も高まるといった具合です。
しかし、消費税の8%への増税直後の4月~6月期のGDPは、政府支出を拡大したにもかかわらず、3年前の東日本大震災直後の落ち込みに匹敵する大きな減少となりました。
文字通り消費を抑制する消費増税の影響が如何に大きいかがわかります。
消費増税賛成派は、増税を見送ったことにより日本が財政健全化を行う意思がないと市場から判断され国債の利回りが高騰することを恐れていますが、増税を行わなくても経済を活性化させて税収を増やす方法もあるはずです。
増税により景気を悪化させて税収を減らしては意味がありません。
安倍首相は、内閣改造後の記者会見で、引き続き経済優先で行うとしていますが、であるならば、増税をやめて、むしろ減税により景気を上向かせてはいかがでしょうか。