東シナ海の公海上空を飛行中の自衛隊機に、中国軍の戦闘機が異常接近しました(※)。
自衛隊機は、東シナ海で行われている中露の軍事演習を監視していた航空自衛隊の画像情報収集機OP-3と情報収集機YS-11EBと見られ、中国軍の戦闘機は数十メートルの距離まで接近したことから、明らかな示威行動と言えます。
小野寺防衛相は、自衛隊機は公海上を飛行していたのであり中国軍の行動は事故を引き起こしかねないと強く批判しましたが、この批判はもっともなことです。
しかし、中国政府は自衛隊機が訓練空域に侵入し危険な行動を取ったとして逆に日本側を批判していますが、この批判は国際常識を無視して自らの考えを押し付けたものと言えます。
中国は2001年にも南シナ海の公海上空で、米軍の電子偵察機EP-3に中国軍の戦闘機が異常接近して空中衝突し、中国軍機が墜落、米軍機が緊急着陸するという事件を起こしました。
この際も、OP-3と同様にEP-3が戦闘機に比べて鈍重な旅客機を原型とするプロペラ機であるにもかかわらず、中国側は米軍機が危険行動を取ったことが衝突の原因だと言い張った経緯があります。
最近でも、南シナ海での中国による一方的な原油採掘に反発したベトナムのデモにより、現地の中国企業が略奪などに遭いましたが、中国政府はベトナム政府に対してその賠償を要求するとしています。
しかし、当の中国は、一昨年の反日デモで被害を受けた日本企業に対する賠償は行っていません。
こうした中国の行動は矛盾に満ちています。
中国は、何に対しても反論し、それに対して相手が何も言ってこなければ自分たちの勝ちという考えがあるようです。
中国の国際常識を無視した振る舞いに対しては、その過ちをきちんと指摘し、国際社会に対してアピールする必要があります。
さもなければ、中国の増長を許し、どこまでも譲歩を迫られることになってしまうのではないでしょうか。
※:5月25日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/20140525-OYT1T50006.html