米国のルー財務長官が、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の開催を前にG20に宛てた書簡で、日本経済を支えてきた内需の見通しが不透明で、「世界経済の見通しのリスクになっている」と懸念を示しました(※)。
ルー氏はアベノミクスの成長戦略の実効性に懸念を示したのかもしれませんが、日本経済の当面の先行き不透明感は、4月に控えている消費増税が大きく影響しているのではないでしょうか。
企業の中には賃上げに踏み切る動きもありますが、働く人の大部分は、給料が増えた実感を持っていません。
こうした状況下での消費増税は、国民の可処分所得の減少を意味し、増税後は確実に消費の低迷に繋がります。
また、企業としても、物の値段が上がれば、当然売り上げが減るので、消費増税分を価格に転嫁しないという選択もあり得るでしょう。
そうなれば、企業としても、利益を増安ことが難しくなります。
このように、増税により景気が回復することは有り得ません。
消費増税による景気の減退を補うためには、よほど強力な成長戦略を打ち出さなければなりませんが、安倍政権の打ち出す成長戦略の中に起死回生の策があるとは言えないのではないでしょうか。
景気回復には、成長戦略とともに減税が必要です。
法人減税も効果的と考えますが、現在検討されている法人減税案の議論は、枝葉末節に終始している印象が強いのではないでしょうか。
今必要なのは、大胆な法人減税により企業の自由度を高めることです。
同時に、今年末に予定されている消費税率10%の判断時には、はっきりと増税を見送る決断をすべきと考えます。
※:2月19日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140219/fnc14021913020009-n1.htm