安倍首相は衆院予算委員会で、高速増殖炉「もんじゅ」について、「反省すべき点は反省し、今後対応していかなければならない」と、計画の見直しを示唆しました(※1)。
私は、高速増殖炉については、依然として日本が手放してはならない重要な技術開発計画だと考えます。
確かに、開発段階にある「もんじゅ」は、ナトリウム漏れなどのトラブルが相次いでいますが、核燃料サイクルの中核であることに変わりがないからです。
小泉元首相が脱原発を主張するに至った要因として、核のゴミの処理問題が解決していないことをあげていましたが、高速増殖炉は、既存の原発から出た使用済み核燃料を再利用して、発電しながら燃料であるプルトニウムを作ることができるのです。
そもそも、核のゴミの処理方法は技術的に確立しており、その処理場所をどこに作るかという政治的な問題が残るのみなのですが、高速増殖炉が実用化すれば、核のゴミ自体を減らせるのです。
外国との貿易を示す「経常収支」の2013年の黒字額は、前年より31.5%減り、1985年以降で最少となりました(※2)。
この黒字額の減少には様々な理由がありますが、その一つは、原発が再稼働できないことによる火力発電用の化石燃料の輸入が増えたことが上げられます。
原発の停止に伴う化石燃料の増分は年間約4兆円とも言われていますが、この国富の流出分を、高速増殖炉の開発に充てれば十分もとが取れる計算になるのではないでしょうか。
高速増殖炉は、日本繁栄のキーテクノロジーとして引き続き国が主体となって、実用化に向けて取り組むべきです。
※1:2月13日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140213-OYT1T01110.htm
※2:2月10日付同http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20140210-OYT1T00200.htm