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2014/02/14【核心的利益の拡大は覇権の拡大】

中国の王外相は、米国のケリー国務長官との会談で、東シナ海や南シナ海を念頭に、米国が中国の「核心的利益」を尊重するよう求めたとのことです(※)。

この「核心的利益」という言葉は、中国の習主席も昨年6月のオバマ大統領との会談で、日本の尖閣諸島に対しても使用したことが分かっています。

そもそも「核心的利益」は、国際的な定義のある言葉ではありません。

中国が決して譲れない国益のことを意味し、その確保のためには軍事的行動も辞さない姿勢を表しているものです。

つまり、中国が勝手に定義し、国際社会に対して強要しているにすぎません。

もともと中国は「核心的利益」を、台湾や侵略したチベットやウイグルに対して使用していましたが、近年、尖閣諸島をはじめ南シナ海の南沙諸島などに対しても拡大するようになりました。

核心的利益が軍事的行動も辞さないことを示しているのであれば、核心的利益の宣言はすなわち宣戦布告にも近いものがあります。

このまま、南シナ海や東シナ海で中国による実効支配が定着すれば、次には、「沖縄は中国の核心的利益だ」などと言い出し、覇権をどんどん拡大していくことは目に見えています。

今回、ケリー氏は「米国は中国の平和的な台頭を歓迎し、中国を抑制する意図は全くない」と述べたとのことですが、中国が一方的に核心的利益を宣言しても、国際法上は何ら効力がないことをはっきりと示すべきではないでしょうか。

中国の覇権拡大の意図がはっきりしている以上、日本は、アジア諸国とも連携して、防衛力を強化する必要があります。

※:2月14日読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20140214-OYT1T01456.htm?from=top